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【レビュー】EOS 5Dmk4からα7SⅢに乗り換えて良かった点&悪かった点

投稿日:2021-08-29 更新日:

Canon EOS 5Dmk4からSONY α7SⅢに乗り換えて良かった点&悪かった点

2021年のデジタル一眼カメラ市場はCanonの巻き返し旋風が勢いを増しておりますが、それでもCanonからSONYに乗り換えたいと思われる方は沢山いらっしゃると思います。
そして動画撮影を中心に考えた場合、その候補に上がるのはやはりα7SⅢなのではないでしょうか?

僕自身、4年間愛用してきたCanon EOS 5Dmark4からSONY α7SⅢに乗り換えて一年弱ですが、大ジャンプも良いところだったので相当悩みましたが、意を決して乗り換えた結果、当然メリットも多く、新しく獲得した知識も多いですし、逆にCanonの良いところがしっかり見えるようにもなりました。

この記事では、動画撮影をメインに、今現在Canonの一眼レフからα7SⅢへの乗り換え、またはメーカー問わず4〜5年前の一眼レフからα7SⅢへの乗り換えを検討されている方に向けて、「どんな点が良かったのか?、悪かったのか?」という内容を、実際に感じた通りお伝えできればと考えております。
また、単にα7SⅢのレビューとしても参考にして頂ける内容かと思いますので、現在買い替えをご検討されている方のお役に立てれば幸いです。
現SONYユーザーの方にとっては、当たり前と感じる内容が多く含まれているかも知れませんが、そこはご容赦下さい。

比較対象が「旧式→最新式」となりますので、一見SONYの圧勝かと思われそうなところですが、そう一筋縄ではいかない部分もあるんですよね!

ではさっそくいってみましょう!




SONY α7SⅢに乗り換えて良かった点

SONY α7SⅢに乗り換えて良かった点

今のカメラ業界1年の進化は10年前の比ではないので、正直、4年前のカメラからの乗り換えとは言え、完全に浦島太郎状態でした。
特に「動画はおまけ」を貫くシンプルなCanon(EOSシリーズ)から多機能なSONYに移行すると、目眩すら起こしそうな勢いでした。
それではまず、良かった点を10個挙げさせて頂きます。

»α7SⅢ (ILCE-7SM3)の公式情報はこちらからご覧下さい。




1.AFトラッキング性能の高さ

とにかくAFの範囲が広く、トラッキングを有効にしてロックオンした被写体をフレームの端まで追いかけてくれる性能の高さは、ジンバルとの相性も良く、ワンオペでの撮影の強い味方となります。
瞳AFの精度の高さと、一回外れたAFのリカバリーの速さは驚異的です!
これは文句なしのメリットですね^^




2.やっぱり高感度に強い!デュアルISO(非公式)

SONYは公式に「デュアルISO」とは言ってませんが、画像処理エンジンの仕組み上、高感度時に高感度用のISOに切り替わることにより、暗所撮影でのノイズ発生を大幅に防いでくれます。
使用しているピクチャープロファイルにもよりますが、例えばS-Log3の場合はISO 12800から高感度用のISOに切り替わりますので、ISO 10000に向かうにつれノイズ量は増えますが、ISO 12800になった途端またクリアな画質に戻るわけです。
HLG3の場合はISO 2000から切り替わりますので、中途半端に1600とかで我慢せずに2000まで上げてしまったほうがクリアになるという不思議な仕組みなのです。
また、画素数を減らすことでピクセルあたりの面積を増やしている構造なので、そもそも光を取り込みやすいカメラとなります。




3.撮影中に交換できるSDカードのデュアルスロット

SDカード1が一杯になった場合、自動的にSDカード2に切り替わるリレー方式で使用できるのですが、撮影中でも一杯になった方を抜いて新しいSDカードに交換できるのです。
「え!そんなことしちゃって良いの?」という仕様ですが、それが可能なのです。
まだ実際にそういった場面に直面したことはありませんが、安心感がありますよね!




4.バリアングルモニターの採用

バリアングルモニター自体はずいぶん昔からありますが、エントリーモデルやミドルクラスの機種に採用されてばかりでしたので、「やっと来たか!」と言う感じです。
従来のSONY製のシフトタイプと違って、やはり使いやすく、ちょっとした撮影なら外部モニター無しでも問題ありませんし、むしろ撮影内容によってはカメラ本体だけで臨んだ方が良い場合も多いので、かなり重宝しております。
上記の流れもあり、個人的にバリアングルというと入門機のイメージが強かった為、言い方が悪いですが「おもちゃっぽい」という偏見を持っていましたが、よく考えたらシネマカメラでも採用されているので当然の流れですよね!




5.静止画/動画独立設定が可能

写真を撮る時と、動画を撮る時の設定を完全に分ける事が可能です。
従来ならいちいち設定を変えて、また戻してというプロセスが必要だった為、動画の合間に写真撮影を行う場合は、シャッタースピードを戻し忘れたりなどの設定ミスをしがちだったのですが、この機能のおかげで、そういったストレスから解放されました!
ちなみに、α7Ⅲやα7Cには搭載されておりません。




6.アクティブ手ぶれ補正の威力

手ぶれ補正には「スタンダード」と「アクティブ」があり、アクティブを選ぶと、当然画角が狭くはなるのですが、強力な手振れ補正が効きます。
ジンバルが要らないとまではいきませんが、手持ち撮影でも十分見れる撮影が可能です。
手ぶれ補正無しで撮影して、編集ソフトでワープスタビライザーを適応して滑らかにすることなども出来ますが、最初から補正して撮影しておいた方が仕上がりも綺麗ですし、余計な手間もかかりませんので有難いですね!




7.APS-Cモード(Super35mm)撮影が可能

4Kには対応しておりませんが、フルHD撮影時にはAPS-Cと同じ画角での撮影が可能ですので、手持ちのレンズでそれぞれ2バリエーションの画角を得る事が出来ます。
APS-Cモードを有効にすると、焦点距離が1.5倍で計算されますので、仮に40mmで撮影していた場合は60mm相当となります。
これ以上寄れないという所から、更に寄れるので、撮影のバリエーションが広がります。

35mm換算に関してはこちらの記事をご覧下さい。
»【レンズ選びで失敗しない】35mm換算とは?簡単な計算方法を紹介




8.「4:2:2 10bit」の撮影が可能

これはもうご存知の方が大半だと思いますが、従来の4:2:0 8bitが1ピクセルあたり約1677万色の表現が可能なのに対して、10bitの場合は約10億7374万色を表現出来るということになります。
これはカラーグレーディングを行う際にかなり有利で、グラデーションの破綻も8bitに比べると大幅に軽減できますし、思い切ったカラーの変更が行えます。

詳しくはこちらの記事をご覧下さい。
»4:2:2 10bit動画の仕組みを解り易く解説【YCbCrが理解できる】




9.露出設定の友「ゼブラ機能」

ゼブラ機能に関しては割と当たり前な雰囲気があるのですが、EOSシリーズではR5/R6(2020年)まで搭載されておりませんでしたので、外部モニターに頼るしかなかったわけです。
ですので、この機能があるというのは本当に有り難い話で、しかもIRE100%以上の白飛びの確認だけではなく、露出の基準となる輝度を指定してゼブラを表示させる事が出来るので、例えばスキントーンを適正に露出させる為にIRE70%にゼブラが出るように設定しておくことで、肌の露出をピンポイントで抑える事ができます。




10.カスタムボタンとFnメニューの充実

本体についている13個のボタンを自由にカスタマイズできます。
また、動画、写真、再生、の3通りをそれぞれ違う内容でカスタマイズ出来るので、言うことなしです!
加えてFnメニューにもよく使う12項目を並べておけるので、自分のスタイルに合わせて、より効率的な撮影を行う事が可能です。
詳しくはこちらの記事をご覧下さい
»α7Ⅲ/α7sⅢ/α7c お勧めカスタムキー&Fnメニュー設定【動画用】


他にも、モアレ(偽色)の低減、ローリングシャッター現象の低減、4K120FPS、フルHD240FPSなど、色々良かった点はありますが、やはり大半は撮影モーションに入るタイミングで、いかにストレスを感じずに多くの機能を操れるか?という”プロセス”に極みを感じています。
本当によくできている有り難いカメラです^^

では次は「悪かった点」を挙げていきます!





SONY α7SⅢに乗り換えて悪かった点

SONY α7SⅢに乗り換えて悪かった点

さて、悪かった点ですが、これも意外と沢山ありました。
内容によってはメーカーの個性と考えるべき部分もあるかも知れませんが、それでも単純に「がっかりした」「困った」という点を7個挙げさせて頂きます。




1.ヒストグラムの表示が小さい

SONYのカメラ全般に言える事ですが、露出を確認する際に必須のヒストグラムが小さくて見辛いという点です。
Canonと比べると3分の1程度の大きさなので、とてもストレスを感じます。
外部モニターを使いましょうという話かも知れませんが、本体単体で見た場合、非常に残念なポイントです。
ソフトウェアアップデートで表示バリエーションを増やしてくれないかな〜なんて思ってます。




2.プレビューで撮影した動画の詳細情報が見れない!

撮影したデータをプレビューで見る際に、全画面で見るか、詳細情報を表示させるか選べますが、動画の場合は詳細情報が全て空欄になっており、どのような設定で撮ったのかが全くわかりません。
5Dmark4の場合は事細かに表示されており、撮影中に設定を変更した場合でも、撮影開始時の情報は残るようになっておりますので、それだけでも有り難かったというか、それが当たり前だと思っていたので本当に驚きです。
パソコンに取り込むと一応確認は出来るのですが、慣れるしかないですね。。。

詳しくはこちらの記事をご覧下さい。
»【動画のメタデータ】SONYのメディア管理アプリCatalyst Browseを紹介




3.液晶モニターが小さい

α7SⅢの液晶モニターサイズは見た目3.2インチなのですが、実際は3インチです。(仕様通り)
SONYのカメラは、本体上部に表示パネルが無いので、シャッタースピードやISOなどの情報を全てライブビューで表示させるしかなく、画面下部は黒帯で各設定情報を表示するエリアとなる為、実質使える画面が狭く感じると思います。
あと、バリアングルモニター採用のトレードオフとも考えられますが、ディスプレイの縁数ミリは画像を表示できないエリアなので、実際に使ってみると「あれ?こんな小さかったっけ??」となるわけです。
0.2インチの差は大きいです!!




4.外部入出力ポートとバリアングルがバッティング

ご存知の通り、バリアングルモニターは左側に開くようになっており、本体左側面には外部入出力ポートが並んでいますので、USB-Cポートやイヤホン端子を使っている場合はモニターをフルで回転させる事が出来ません。
また、端子の破損を防ぐ為のケーブルプロテクターを装着している場合は遊びが無くなるので、完全に金縛り状態となりモニターはほぼ回転しません。
まぁそこまでゴチャゴチャと外部機器繋ぐなら外部モニターもあるでしょうし、本体のモニターは不要なのでは?と思われるかも知れませんが、フォーカスポイントの切り替えタップや、トラッキングポイントの指定などは本体モニターを使うので、やはり必要なのです。
とは言え、時々困る程度なので、そこまで大きな問題では無いです。




5.良くも悪くもSONYの画

これはSONYの個性だと思うので、なんとも言い難いですが、やはり映像が硬くシャープな印象です。
当然レンズの問題もありますが、DIGICとBIONZの画像処理アルゴリズムの違いの大きさ、考え方の違いなんだと思います。
結局どっちが好きかという、それだけの話ですが、同じくレンズも含めて考えた場合、僕はCanonが好きなだけです。
CanonのLレンズ特有の柔らかいディティール表現に慣れていればいる程、SONYに乗り換えた後の、もどかしい気持ちは覚悟しておかなければいけませんね!




6.色の問題(カラーシフト)

よく言われる「マゼンタシフト」の件ですが、やはりSONYは肌の色やグリーンの出方がおかしいですね。
α7SⅢでは大分マシになったという話ですが、それでもCanon一筋だった僕にとっては信じられない程カラーシフトが起きていますので、撮った映像を見て素直に納得できることは少ないです。
もちろん編集時に僅かな調整で適切な色合いに戻すことは出来ますが、だから問題無いという話では無いですね。
まぁ今まで不要だったプロセスが増えはしましたが、そういう類の問題への対応力も必要なので、結局越えなければいけないハードルとしてポジティブに受け入れるのが吉ですね!




7.ピクチャープロファイルが多すぎて混乱する

SONYの良い所でもある豊富なピクチャープロファイルですが、逆に多すぎて混乱するというのが正直な感想です。
当然それぞれ適切な扱い方があるので、ここでつまづくとパニックになるんですよね。
僕自身「自分が使うのはコレ!」と決めていながらも、それがうまくいかない時に、検証の為他のプロファイルに手を出して迷宮入りするという経験がありましたので、SONYに乗り換える方には気を付けて頂きたい点ですね^^;
と言っても、結局色々と試してみたくなると思うので、その洗礼は免れる事が出来ないのかも知れません!
でも長い目で見ると選択肢が多いことは間違い無く良いことです。

S-LogやHLGに関する詳しい内容は下記の記事をご覧下さい。
»SONY:S-Logの基礎知識【撮影設定の選び方からLUT適応まで】
»HLG(PP10)で撮影するメリットと技術的裏付け:前編【 SONYユーザー以外も必見】




まとめ

SONY α7SⅢに乗り換えて悪かった点

結論、α7SⅢは本当に素晴らしいカメラと言えます!
取り回しの良さと、機能面においては大満足ですし、まだ使ってませんが外部RAW収録への対応など、ポテンシャルは計り知れません。
画素数が約1210万画素ということで、写真に向いてないと言われがちですが、大きなポスター(A1,A2)などの写真を撮るのでなければ十分です。
ちなみに、α7SⅢでA4のフォトブックの撮影を数回行いましたが、全く問題ない仕上がりどころか最高でした^^


色の出方や、画作りの部分で、慣れない点はありますが、これらの事はどのカメラメーカーに乗り換えても起こることですし、問題への対応スキルを身につけていかなければ、この先いちいち躊躇することになると思いますので、ある意味良い機会を与えてくれたと感謝しています。

部屋の引越しなどでも、最初の1ヶ月はあれこれお金が掛かったり慣れなかったりで不安になることもあると思いますが、それと同じで数ヶ月すればいつの間にか馴染んでるものだと思います。

丸ごと乗り換えを検討されている場合は勇気が要るかと思いますが、目玉機能ばかりに注目せず、何気なく出来ている事が出来るのかどうか?いつも手間がかかっていた作業がワンタッチでできるか?などのユーザビリティーに注目して頂くと、満足のいく結果になるかも知れませんね!

少しでも参考になればと思います^^
ではまた!

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Indieemotion(インディーモーション)管理人
Shinpei Nakamura(ADEMOYO)

2014年から映像制作を開始。
制作案件はMVを中心にライブビデオや企業/店舗のPRビデオまで幅広く、企画から撮影/照明/音声/編集に到るまで基本ワンオペのハードモードFilmmaker。ヒーヒー言いながらやってます。
旅と屋台を愛し、2019年はストック素材撮りと称して1年弱アジアからヨーロッパを彷徨いながら撮影を敢行。超楽しかったです(^^)
このブログでは、誰でもカンタンに出来るビデオ撮影方法から、こだわり抜いた撮影/編集まで、割と広めの役立つ情報を公開していこうと思っています!