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カラーグレーディングの基礎【方法や手順はどのソフトも同じ】

投稿日:2020-07-29 更新日:


今や映像制作における必携スキルとなりつつあるカラーグレーディング。

僕は普段MVの制作依頼を頂く事が多いのですが、成果物の印象を左右する重要な要素であると考えています。
それゆえ日々勉強は欠かせないわけですが、正直最初は完全に手探り状態で、トライ&エラーの繰り返しでした。

この記事をご覧頂いている皆さんも、ネットや書籍から情報を拾い集めて独学で勉強されている方が多いのではないでしょうか?
そしてどこかでこんな言葉に出会ったことないですか?

「カラーグレーディングのやり方に決まりは無い。」

これ困りますよねw
突き詰めるとそうなのかもしれませんが、我々が知りたいのはプロの制作現場の”基本的なワークフロー”なんですよね。

「このやり方で本当にあってるのかな?…」
という不安を一つずつ潰していきたいわけです。

本記事ではPremiere Proを用いたカラーグレーディングの準備から実際の手順まで解説いたします。Final Cut ProやDaVinci Resolveを利用されている方も、実装されているツールはほぼ同じなので参考にして頂けると思います。

なお、一つ一つの手順の詳細に関してはここでは割愛し、どんなフローなのか?というところにフォーカスして進めて参りたいと思います。




そもそもカラーグレーディングとは?

まず、カラーコレクション(通称カラコレ)と呼ばれる作業がございまして、これは撮影した素材を編集しやすいように整える目的があり、シーン毎の色に統一感を持たせたりするのが主な作業内容です。
そしてカラーグレーディングとは、カラーコレクションで行う作業をPrimary(プライマリー)というセクションに位置付け、Secondary(セカンダリー)というセクションで色別の細かい調整や、効果を適応します。

それ以外にも様々なツールを用いて作品の世界観を作り上げていく作業なのですが、基本は上記の2つのセクションから成ります。



カラーグレーディングに適した素材

カラーグレーディングを行う上で肝心なのが素材です。
そもそもカラーグレーディングでは色の情報を操作することになるので、素材自体に十分な色の情報が含まれている必要があります。

簡単な例で言うと、暗部が潰れてしまっていてグレーと黒の境目が無いようなデータだと、そこはどう頑張っても真っ黒にしかならずグレーディングは不可能ということになります。

そうならないよう撮影段階から注意する必要があるのですが、カラーグレーディングを前提に撮影する場合は主に以下の3つ形式で収録することになります。



Log

C-Log(Canon)、S-Log(SONY)、V-Log(Panasonic)など、カメラメーカー各社がLogを用意しており、それぞれ色のカーブに違いはあるものの、一貫して言えるのは明部と暗部の差を縮める事で広いダイナミックレンンジを獲得する為の収録形式であると言う事です。
見た目はグレーがかったいわゆる「ねむたい画」になりますが、色の情報がしっかり残ってますので、グレーディング時にやれる幅が広がります。



HLG

ハイブリッドログガンマの略で、Rec 709とLogのハイブリッドを意味しています。撮影時にlog方式を使用して広いダイナミックレンンジを獲得する目的自体はLogと同じですが、こちらはHDR映像制作用の形式になります。



RAW

通常のビデオ撮影やLog収録の場合データは圧縮されており、全ての情報を記録しているわけではない為、グレーディング時に必要な露出補正や色の変更を行おうとすれば、画像が壊れてしまう可能性があります。
その点RAWの場合は全ての情報を含んでいますので、今の所一番自由度の高い収録形式です。


要は色の情報をどれだけ残せているかでカラーグレーディングの結果は変わると言う事です。
下記よりトレーニング用の素材を無料でダウンロード出来ますので、是非ご利用下さい。Blackmagic Design トレーニング素材



カラーグレーディングの基礎・手順

今回はLog収録した素材をPremiere Pro内臓のLumetriカラーでLUTを使わずに1からカラーグレーディングを行う手順を説明致します。
まずはこれから説明する流れの全体像をお伝えしておきますね!

  • Primary(プライマリー)基本補正
    コントラストの調整
    ホワイトバランスの調整
    Saturation(彩度)
  • Secondary(セカンダリー)特定範囲の色や明るさを変える
    カーブ
    マスクの使用
  • その他のエフェクト
    ノイズ除去
    シャープネス追加

では早速始めていきましょう!



Primary(プライマリー)基本補正

カラーコレクションとカラーグレーディングの違いの項でもご説明致しましたが、ここでは基盤になる色作りを行い、シーン毎の色の統一感を持たせます。

コントラストの調整

下記の画像のRGBスコープを見て頂いてわかる通り、明部と暗部がポッカリと空いておりまして、コントラストの低い素材です。
まず最初にLumetriカラーの基本補正内にある「トーン」を使ってコントラストを取り戻す作業を行います。

  • ブラックレベル
    RGBスコープを見ながら黒レベルを下げます。後でまた調整するので、ざっくり下に届くぐらいまで下げればOKです。
  • ホワイトレベル
    RGBスコープを見ながらハイライトや白レベルで調整します。
  • ミッドトーン
    RGBスコープを見ながらシャドウや白レベルを調整します。

RGBスコープを見ていると気付くかと思いますが、片方を動かすと片方が引っ張られるといった具合に階調が崩れないように出来ている為、微調整を繰り返し、最後に必要に応じて「コントラスト」で整えます。


素材にコントラストが追加され、しっかりした画になってきました。



ホワイトバランスの調整

色温度と色被り補正を使って適切な色に補正します。
出来るだけフラットな(忠実な)色温度にする必要がありますが、夕方のオレンジがかった色を本来の白に戻す必要などはありません。



Saturation(彩度)

彩度を上げます。
この時RGBスコープ上露出オーバーしてしまうようなら、ハイライトやホワイトレベルを調節してオーバーしないようにします。

いかがでしょうか?
かなり色を取り戻せたと思います。

基盤となるカラーが出来上がったところで他の素材とのバランスを合わせていく作業があり、カラーマッチという機能を使って複数の素材の統一を行うのですが、ここでは説明を割愛いたします。
ひとまずベースの色作りは完了となります。



Secondary(セカンダリー)特定範囲の色や明るさを変える

次に特定の色や明るさを調整します。

カーブ

Lumetriカラーのカーブから色相/彩度カーブを選択肢、特定色の色を個別に調整していきます。ややこしそうなツールですが、Final Cut ProやDaVinci Resolveも同じ機能を持っていますので覚えるしか無いですね!慣れればなんのことない便利なツールです。
調整結果がこちらです

関連記事
Premiere proのカラーグレーディングツール:色相/彩度カーブ


マスクの使用

範囲を指定してその中の色や明るさを調節します。
これはAdobeさんにもうちょっと頑張って欲しいところですが、マスクは複数作成出来ますが、あくまでも差し込んでいるエフェクトの効果範囲の指定ということになりますので、一つのエフェクト内で別の効果を得る事が出来ません。
(ちなみに差し込んでいるエフェクトというのはLumetriカラーの事です)

なので、ここまで調整してきたLumetriカラーはそのままにしておき、タイムライン上にオブジェクトをコピーしてレイヤー構造にして上段のオブジェクトにマスクを適応します。

今回マスクを適応する必要は無いのですが、折角なので右側の影だけを薄くしてみます。

マスクはよく利用しますが、中級編だと思って頂いて結構です。なので今回は詳しく説明しませんが、この段階で出てくるということだけ覚えておいて下さい。

DaVinci Resolveの場合はノードを追加するだけなので作業が楽なんですけどね。。

ここまでがカラーグレーディングの基礎的なワークフローです。
ここから先は他のツールも使いながらの作業になります。



その他のエフェクト処理

ノイズ除去とシャープネスを追加すれば一通り作業は完了となります。


ノイズ除去

LumetriカラーのHSLセカンダリ内に「リファイン」という項目がありますので、そこからノイズ除去を行えます。
強くかけ過ぎるとグラーデーション部分の階調にバンディングが発生するので要注意です。
あと、ノイズ除去を行うタイミングですが、今回の説明ではカラーグレーディングのセカンダリーの後に紹介しましたが、プラグインのノイズリダクションを使う場合はLumetriカラーの前に適応させます。いずれにしてもノイズ除去を適応すると作業が重くなるので最後に追加するのが良いでしょう。

ちなみにLumetriカラーのノイズ除去はあくまでも選択したキー(色)に対する措置として備わっているものなので、個人的にはあまり使い勝手が良いと感じず、プラグインのNeatvideoMagic Bullet Denoiser IIIを使い分けています。
いずれも2万円前後の価格ですが、効果がエグいのでオススメです。



シャープネス追加

Lumetriカラーのクリエイティブの中に調整という項目があり、そこからシャープネスを追加できます。が、しきい値などをコントロールできないので、その場合はPremiere Pro純正の「アンシャープマスク」を使うと良いです。
これも強くかけすぎると汚くなるので、気持ちクッキリする程度にしておいた方が良いですね!

シャープネスも重たいエフェクトなので最後に追加しましたが、アンシャープマスクを使う場合はLumetriカラーの前に適応させます。

以上です!

最後にビネットを追加して雰囲気を出したりするのもOK!!


下記の画像がカラーグレーディング前(上)と後(下)です!


いかがでしたでしょうか?
各ツールの操作については詳しく触れておりませんが、全体の流れは掴んで頂けたのではないでしょうか?

僕自身、最初は正解がわからず闇雲にやっていたのですが、カラーコレクションハンドブック -映像の魅力を100%引き出すテクニックを一通り読んで一気に理解度が変わりました。

DaVinci Resolveを使って説明している内容ですが、僕のようにPremiere Proユーザーでもわかる内容でした。



今回ご説明したカラーグレーディングの手順は基礎ですが、言葉の通りこれがベースになり、他の上級テクニックはその上に成り立ちます。

中々とっつきにくい作業ですが、途中でお伝えしたBlackmagic Designトレーニング素材などを使って試すことで、素材への不信感がない状態で臨めますので、そこで成功体験を積むことによって苦手意識も払拭出来るかもしれません。

考え方はどの編集ソフトでも同じなので、今使っているソフトで是非試してみて下さい!

それではまた!


編集
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Shinpei Nakamura(ADEMOYO)

2014年から映像制作を開始。
制作案件はMVを中心にライブビデオや企業/店舗のPRビデオまで幅広く、企画から撮影/照明/音声/編集に到るまで基本ワンオペのハードモードFilmmaker。ヒーヒー言いながらやってます。

旅と屋台を愛し、昨年はストック素材撮りと称して1年弱アジアからヨーロッパを彷徨いながら撮影を敢行。超楽しかったです(^^)
このブログでは、誰でもカンタンに出来るビデオ撮影方法から、こだわりり抜いた撮影/編集まで、割と広めの役立つ情報を公開していこうと思っています!

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