2020年10月に発売したSONY α7SⅢは、4K120P撮影を4:2:2 10bitで行えるということで有名ですが、それ以外の記録モードに関しては意外なまでに浸透していません。
実際カメラを選ぶ時って、目玉機能に気を奪われがちですが、それよりも汎用性の高い記録方式がポイントだったりするんですよね。
例えばこのカメラ、モンスター級の素晴らしいカメラですが、XAVC HS 4Kで記録した場合はHS対応の編集環境が必要だったりとか、あとは画素数の関係で4K撮影時はAPS-C/Super 35mmモードが使えないと言ったデメリットがあります。
一方でフルHDはS&Qモードで240fps(10倍スロー)を可能としています。
こんな感じで、新しい試みゆえに痒いところに手が届かないといった新機能がある反面、一個下のラインが充実するという流れは当たり前ですが結構重要です。
ところが、SONYの商品ページ内で「仕様」を見てもその辺りの細かい記述が見つからないではないですか!
購入やレンタルを検討されている方でしたら絶対に押さえておきたいポイントですから、それが見つかりにくいとはどういうことだ?となりますよね。
でもちゃんとありました^^
灯台下暗しとはよく言ったもので、取扱説明書に記載されておりました…
何が10bit対応なのかとか、じっくり見てみると結構いろんな発見がありますので、まだ見てなかったという方は是非穴があくまでご覧ください^^
α7SⅢの動画記録方式一覧まとめ
まずは動画モード(フィルムマーク)選択時の選択肢です。
- XAVC HS 4K
- XAVC S 4K
- XAVC S HD
- XAVC S-I 4K
- XAVC S-I HD
そうそうコレね…これってどれ選べば良いの?
XAVC HSは、XAVC Sと同じ画質でファイルサイズが約半分になるというメリットがありますが、そのかわり編集できるソフトに制限があるのと編集する時は重たいというデメリット付きです。
逆にXAVC S-Iは編集時に軽いが、ファイルサイズが大きくなるというデメリットがあります。
汎用性の高いXAVC Sで落ち着くのも有りですが、折角なので撮影/編集プランに合った記録方式を選択したいものですね!
記録⽅式が[XAVC HS 4K]のとき
記録フレームレート | 記録設定 | サイズ | 映像圧縮⽅式 |
60p | 200M 4:2:2 10bit | 3840×2160 | Long GOP |
60p | 150M 4:2:0 10bit | 3840×2160 | Long GOP |
60p | 100M 4:2:2 10bit | 3840×2160 | Long GOP |
60p | 75M 4:2:0 10bit | 3840×2160 | Long GOP |
60p | 45M 4:2:0 10bit | 3840×2160 | Long GOP |
24p | 100M 4:2:2 10bit | 3840×2160 | Long GOP |
24p | 100M 4:2:0 10bit | 3840×2160 | Long GOP |
24p | 50M 4:2:2 10bit | 3840×2160 | Long GOP |
24p | 50M 4:2:0 10bit | 3840×2160 | Long GOP |
24p | 30M 4:2:0 10bit | 3840×2160 | Long GOP |
120p | 280M 4:2:2 10bit | 3840×2160 | Long GOP |
120p | 200M 4:2:0 10bit | 3840×2160 | Long GOP |
記録⽅式が[XAVC S 4K]のとき
記録フレームレート | 記録設定 | サイズ | 映像圧縮⽅式 |
60p | 200M 4:2:2 10bit | 3840×2160 | Long GOP |
60p | 150M 4:2:0 8bit | 3840×2160 | Long GOP |
30p | 140M 4:2:2 10bit | 3840×2160 | Long GOP |
30p | 100M 4:2:0 8bit | 3840×2160 | Long GOP |
30p | 60M 4:2:0 8bit | 3840×2160 | Long GOP |
24p | 100M 4:2:2 10bit | 3840×2160 | Long GOP |
24p | 100M 4:2:0 8bit | 3840×2160 | Long GOP |
24p | 60M 4:2:0 8bit | 3840×2160 | Long GOP |
120p | 280M 4:2:2 10bit | 3840×2160 | Long GOP |
120p | 200M 4:2:0 8bit | 3840×2160 | Long GOP |
記録⽅式が[XAVC S HD]のとき
記録フレームレート | 記録設定 | サイズ | 映像圧縮⽅式 |
60p | 50M 4:2:2 10bit | 1920×1080 | Long GOP |
60p | 50M 4:2:0 8bit | 1920×1080 | Long GOP |
60p | 25M 4:2:0 8bit | 1920×1080 | Long GOP |
30p | 50M 4:2:2 10bit | 1920×1080 | Long GOP |
30p | 50M 4:2:0 8bit | 1920×1080 | Long GOP |
30p | 16M 4:2:0 8bit | 1920×1080 | Long GOP |
24p | 50M 4:2:2 10bit | 1920×1080 | Long GOP |
24p | 50M 4:2:0 8bit | 1920×1080 | Long GOP |
120p | 100M 4:2:0 8bit | 1920×1080 | Long GOP |
120p | 60M 4:2:0 8bit | 1920×1080 | Long GOP |
記録⽅式 が[XAVC S-I 4K]のとき
記録フレームレート | 記録設定 | サイズ | 映像圧縮⽅式 |
60p | 600M 4:2:2 10bit | 3840×2160 | Intra |
30p | 300M 4:2:2 10bit | 3840×2160 | Intra |
24p | 240M 4:2:2 10bit | 3840×2160 | Intra |
記録⽅式 が[XAVC S-I HD]のとき
記録フレームレート | 記録設定 | サイズ | 映像圧縮⽅式 |
60p | 222M 4:2:2 10bit | 1920×1080 | Intra |
30p | 111M 4:2:2 10bit | 1920×1080 | Intra |
24p | 89M 4:2:2 10bit | 1920×1080 | Intra |
スロー&クイック[S&Q]モード選択時
モードダイヤル「S&Q」に適応可能な設定です。
スローモーション以外にもクイックモーションで簡単にタイムラプスの撮影が可能です。
ちなみに記録⽅式で4K(HS/S/S-I)を選択しているときは240fpsは利用できません。
記録24p | 記録30p | 記録60p | 記録120p | |
240fps | 10倍スロー | 8倍スロー | 4倍スロー | 2倍スロー |
120fps | 5倍スロー | 4倍スロー | 2倍スロー | 通常の再⽣速度 |
60fps | 2.5倍スロー | 2倍スロー | 通常の再⽣速度 | 2倍クイック |
30fps | 1.25倍スロー | 通常の再⽣速度 | 2倍クイック | 4倍クイック |
15fps | 1.6倍クイック | 2倍クイック | 4倍クイック | 8倍クイック |
8fps | 3倍クイック | 3.75倍クイック | 7.5倍クイック | 15倍クイック |
4fps | 6倍クイック | 7.5倍クイック | 15倍クイック | 30倍クイック |
2fps | 12倍クイック | 15倍クイック | 30倍クイック | 60倍クイック |
1fps | 24倍クイック | 30倍クイック | 60倍クイック | 120倍クイック |
映像圧縮⽅式について
XAVC HSは最新の技術ですが、全てにおいて一番優れているわけではありません。
Intra/Long GOPは映像圧縮⽅式です。映像の圧縮を1フレーム毎に⾏っているのがIntra圧縮で、圧縮を複数フレームにまたがって⾏うのがLong GOP圧縮です。編集時のレスポンスや⾃由度はIntra圧縮の⽅が優れていますが、圧縮効率はLong GOP圧縮の⽅が優れています。
SONY ヘルプガイド記録方式(動画)
Intraとは「All-I」のことで、Long GOPとは「IP/IPB」のことです。
XAVC HSの圧縮⽅式はLong GOPですので、撮影データそのものは軽くなりますが、それだけ圧縮されているということになりますので、編集時には扱いにくい(重たい)という代物です。
僕は今まで、ライブ撮影などでない限り「All-I」を使っていましたので、ファイルサイズが大きいと言っても、それほど問題には感じていませんが、スローの撮影をXAVC S-I(All-I)でやろうとすると、設定内容によってはCFexpressが必要になるので、そこだけ注意が必要です。
とりわけ撮影と言っても、Youtubeの撮影なのか、MVの撮影なのか、セミナーの撮影なのか、色々ありますので、編集のウエイトを考慮して記録方式を選ぶことで、作業効率がアップしますので、うまいことやっていきたいものですね!
ではまた!