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動画撮影の鉄板カメラアングル12選【心理的な効果を生み出す】

投稿日:2021-02-04 更新日:

動画撮影の鉄板カメラアングル12選

この写真の女性から物凄い威圧感を感じませんか?

これは典型的なローアングルショットの使い方で、被写体を大きく見せたり、力強く見せる効果があります。

比較的わかりやすい例でしたね!
今回はその中でも割と多く使われるアングルを12個ピックアップしたいと思います。

実は映像制作においてのカメラアングルは、視聴者にどういった印象を持たせるかをコントロールする重要なテクニックで、何十種類も使い分けられているのです。
例えば、親密に見せたり、不安に見せたり、孤独に見せたりなどなど。
普段なんとなく見ている映画にもその技術はふんだんに盛り込まれています。


もちろん全てを使いこなす必要はありませんが、それぞれが何を意味するのかだけでも知っていれば、現場で必ず生きてくるはずです!

特に被写体と大きく距離を取る場合や、1ショットの為だけにレンズを交換する場合などは、目的が「こんな構図も撮っておきたいな〜」ぐらいだと面倒臭さにに負けてしまいそうですが、”こういう意味を持たせたい”という具体的な意図があれば迷いなくこなせるはずです。

と、自分に言い聞かせております^^

ビデオグラファーとして必ず身につけておきたいスキルの一つですが、僕を含めてなんとなくやりがちな方が多いと思いますので、是非この機会に興味を持って頂ければと思います。




動画撮影の鉄板カメラアングル12選

動画撮影の鉄板カメラアングル12選

カメラアングルは、視聴者を誘導する為の重要なテクニックです。
ちょっとした違いで大きく印象を変えてしまいますので、そのアングルを使う理由を明確に知っておく必要があります。

また、スチール撮影とショットの名前が異なりますが、それはそういうものなので切り離して考えた方が良いです。

  1. ワイドショット
  2. ロングショット
  3. ミディアムショット
  4. カウボーイショット
  5. クローズアップショット
  6. ディティールショット
  7. ローアングル
  8. ハイアングル
  9. ダッチアングル
  10. オーバーザショルダー(OTS)
  11. POVショット
  12. カットアウェイショット

この順番で解説いたします!


1.ワイドショット

動画撮影の鉄板カメラアングル12選

広範囲を納めたショットで、広角レンズで撮影される事が多いです。
ショットの中には多くの情報があり、視聴者に場所や環境を理解させるのに有効です。
シーンの設定がわかりやすくなり、被写体がその場所にどのように関わっているかが一目でわかります。
また、被写体の配置や周囲の様子次第で孤独感を表現することにも使えます。

1ショットでもこのアングルがあれば、作品の設定に深みが増しますね!




2.ロングショット

動画撮影の鉄板カメラアングル12選

ワイドショットと同じく場所の確立として使用されるショットです。
基本的には被写体の全身がフレームに全て入っており、周囲の情報を多く含みます。
映画では、象徴的なシーンにロングショットを使う事が多く、望遠レンズによる圧縮効果を存分に発揮できるアングルです。
その反面、作品と視聴者に分離感を与えることも出来ますので、多様し過ぎは要注意です。
被写体と距離をおく撮影になりますので、大半が屋外ですね!

レンズの効果に関してはこちらの記事をご覧下さい。
»一眼動画撮影における焦点距離別レンズの選び方【初心者にオススメ】




3.ミディアムショット

動画撮影の鉄板カメラアングル12選

腰から上なのでウエストショットとも言います。
被写体に比較的近い中距離で撮影されたショットで、視聴者が被写体をしっかりと見ることができるため、会話のシーンなどによく使用されます。
また、周囲の情報も被写体の詳細の両方を見ることができる為「スイートスポット」ショットと呼ばれることもあり、視聴者が自分自身のように感じるれるという作用があります。

なんとなく撮影していると、このアングルになることって多いと思うんですが、カメラマンである自分がいつのまにかそこに収まりに行ってるって、ちょっと面白いですよね^^




4.カウボーイショット

動画撮影の鉄板カメラアングル12選

あまり聞きなれない言葉ですが、その名の通り西部劇で多く使用されるアングルです。
太ももの真ん中より上のショットの事を指し、名前の理由はそのままで、腰にぶら下げたピストルまでフレームに収める必要があったからということです。
実際の使い道ですが、腰の近くで行われる重要なアクションを強調できます。
あとは腰掛けている人物と、立っている人物を同時に撮影する場合に有効ですし、ストーリーがヒロイズムと自信のあるキャラクターを扱っている場合は特に効果を発揮します。

いつ使うねん!ってなりそうですが、カメラをヒップレベルまで落としてやや煽り気味のアングルですので、男性をカッコよく撮る場合などにはピッタリです。




5.クローズアップショット

動画撮影の鉄板カメラアングル12選

クローズアップショットは、被写体の細部を捉えるために、近距離で人物や物体を撮影したショットで、人物の場合は頭から肩ぐらいの範囲のことを指します。
フレーム化されたこのショットは、視聴者がどのような種類の感情が伝えられているかを知る為に使われる事が多く、会話では「重要」「激しい」「親密」といった感覚を与えます。
また、視聴者が注意を払う必要があるということを知るのに役立ちます。

ちなみに、腕だけとか、脚だけとかでも画面の大部分を占めている場合は「クローズアップショット」とされる場合があります。




6.ディティールショット

動画撮影の鉄板カメラアングル12選

エクストリームクローズアップショットとも呼ばれ、フレームの全体が被写体で埋められているショットの事を指します。
極端なクローズアップは、被写体が多くのことを語る必要なく、被写体が感じている感情を伝えるための強力な方法です。
勿論人物だけに限らず、特定の詳細を強調または重要視させる役割もあります。
効果としては、共通のテーマを表現したり、謎を作ったりなどです。

ほんの少しの動きで大きなストーリー性を生み出す効果がある為、無意味に散りばめると視聴者を混乱させる可能性もあります。




7.ローアングル

動画撮影の鉄板カメラアングル12選

冒頭でも説明した通り、被写体をより大きく見せるために使用されるショットで、下から煽りで撮ります。
力強さや優位性を表現する際に使われる事が多く、地面から全身を撮るだけではなく、机に向かっている人物を机の上から撮ることでも同じ効果を得られます。
ただ、条件次第では被写体を無防備に見せることもあり、意図してその効果が使われる場合もあります。
例えば、ビルに囲まれている被写体をローアングルで撮る場合、周りの大きさの方が強調され、被写体自体は弱々しく表現されることになります。

ロケーションを味方につけて理想の表現に使いたいですね!




8.ハイアングル

動画撮影の鉄板カメラアングル12選

被写体を上から下に向けて撮るショットです。
このタイプのショットは、下の被写体やオブジェクトを無防備、無力、または弱いように見せるために使用されます。
犬や猫のハイアングルショットを見て「可愛い〜♡」って思うのも、人間の心理的に「無害=可愛い」だからかもしれませんね!

ハイアングルショットを使用する場合、視聴者は「力」のある人の視点を持っており、主観的に映像を捉える事ができます。




9.ダッチアングルショット

動画撮影の鉄板カメラアングル12選

水平ではなく傾いている又は傾くショットの事を指します。
このアングルは、映画内で一連のさまざまな感情を呼び起こすことができます。例えば、心理的苦痛、緊張、不安などを高め、それはサスペンスとスリルの感覚に繋がります。

ジンバルの回転機能をむやみやたらと使うべきではないという事ですね!




10.オーバーザショルダー(OTS)

動画撮影の鉄板カメラアングル12選

肩越しのショットは、キャラクター同士が会話しているときによく使用されます。
視聴者は、自分がその人であるかのような視点を得ることができますので、よりストーリーに入り込むことができる上、フォーカスを合わせる位置を変えることで正面に立っているキャラクターにはまだ見えないものを見ていることを視聴者に示すためにも使用できます。
例えば左奥の写真にフォーカスすることも出来ますので、視聴者にそこに何かあると感づかせるきっかけとなります。
もしくは相手に目の動きを悟られた可能性を考えさせたりもできますよね。

ちなみに画像の人物はブレイキングバッドのウォルター・ホワイトです!




11.POVショット(Point of view)

動画撮影の鉄板カメラアングル12選

キャラクターの視点ショットの事を指します。
実は個人のビデオ撮影の大半がこのPOVなのですが、その場の空気、臨場感を伝えやすいのと、キャラクターの心理状態を視聴者が理解するのに効果的です。
犬の目線カメラとか見た事のある方なら、その効果を想像しやすいのではないでしょうか?
そのキャラクターになったつもりで見てもらうというのはとても大事です。




12.カットインカット&カットアウェイ

動画撮影の鉄板カメラアングル12選

カットインカットとは、メインシーンに表示されているもののクローズアップショットの事で、上記の画像の例で説明しますと、まず車が走っているショットがあり、次にスピードメーターのショットに変わり、また車が走っているショットに戻る場合のスピードメーターがカットインカットとなります。
カットアウェイはそれによく似ていますが、メインシーンから離れているものが対象となりますので、この例の場合なら信号機や道路標識などがそれにあたります。

一般的に「インサートショット」としてざっくり表現されることが多いですが、厳密にいうと、同時進行している時間軸内での別のショットという定義があり、メインの被写体から関連する被写体へとカット繋ぎする為のショットで、シーン内の時間や空間を制御する効果があります。

または、キャラクターの心理状態を周りのもので表現する際に使われることもあります。




以上12種類のカメラアングルでした!
これにカメラの動き方が加わる事で一つのショットでも厚みが増します。
カメラワークに関してはこちらの記事をご覧下さい。
»絶対知っておきたい10種類のカメラワーク【脱ワンパターン!】


まとめ

動画撮影の鉄板カメラアングル12選

それぞれのアングルの意味について解説させて頂きました。
他にもまだまだありますが、ひとまずこの12種類だけでも意味を理解しておくだけで全然違ってくると思います。
今までなんとなく「寄り多めだし、引きも少し撮っとこうか〜」という感じでやってきてたのならなおの事です。

何の為にどんなショットを撮ろうかというのは本来撮影プランを練っている段階で決めておくことですが、現場でインスピレーションを受けて思いつくこともあると思いますので、その時引き出しからスルスルっと出てくればもうバッチリですね^^

感覚で良い感じに色んなアングルを織り交ぜた作品を作れる方も多いかもしれませんが、その理由まで揃ってるとなお良いですよね!

ちなみに「オーバーザショルダー(OTS)」で取り上げた画像は海外ドラマのブレイキングバッドからですが、ドラマは全編通してアングルの使い分けがパターン化されているので、反復学習にはちょうど良いです笑

僕は最近Netflixを契約して色々見漁ってますが初月から有料なので、31日間無料トライアルがあるU-NEXTにしといても良かったかな?と今更ながら思ったりします。
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動画のアングルについてでした。
これからも是非楽しんで撮影してください!

ではまた!

撮影
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Shinpei Nakamura

ビデオグラファー / 映像クリエイター / 映像ディレクター として活動しており、建築・広告・MV などの映像制作を行なっています。
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