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【α7SⅢ】S-Cinetoneとは?使いこなす為に必要な露出の知識

投稿日:2021-02-28 更新日:


α7SⅢでもS-Cinetoneが使えるようになり、大変話題になっておりますね!

「そもそも[PP11]S-Cinetoneってどういうものなのか?」

「撮って出しが綺麗と言われているが、カラーグレーディング は必要なのか?」


など、色々疑問が湧いてきますが、肝心な使いごこちは

「抜群に良いです!!」


SONYのカメラでこんなに素直な色が出せることに驚きました。

しかし、独特のガンマカーブであることも確かで、露出によって雰囲気がガラッと変わるその仕組みは知っておかないと苦労してしまうかもしれませんので、公式情報と検証内容を交えてご紹介できればと思います。

*本記事でご紹介する内容はα7SⅢでの検証結果/設定となります。




S-Cinetoneとは?使いこなす為に必要な露出の知識

記事の最後に、僕が試してみた詳細設定も掲載させて頂きますが、まずは下記の順にご紹介させて頂きます。

  • S-Cinetoneとは?
  • 露出によって変わるガンマカーブ
  • 適正な露出
  • 暗所ノイズ検証



S-Cinetoneとは?

S-Cinetoneは、CineAltaカメラ「VENICE」の開発を通じて得られた知見を基に作られ、人の肌の色再現性をアップし、色合いはよりソフトに、ハイライトの描写は被写体を美しく際立たせる自然なトーンを持つルックの事です。
FX9のリリースに伴い新しいビデオルックとして導入されました。

ただ、CineAltaカメラが導入されるようなハイエンドシネマコンテンツ作成現場の一般的なワークフローとして、ポストプロダクションでのカラーグレーディングには、多くの時間と費用がかかるのが通常で、当然高品質なコンテンツの作成を求められます。
しかし時間と予算は限られておりますから、大規模なポストプロダクションが行えないというケースも多くあり、ソニーはこれらの要求に応えるためにS-Cinetoneを開発しました。

S-Cinetoneは、VENICEのようなシネマティックな階調や色再現を追及したガンマカーブであると同時に、ポストプロダクションで追加のカラーグレーディングが必要ない場合は、それをそのまま使えるようにした設計となっています。
撮って出しが綺麗と言うのはそういうことで、それが目的で開発されたわけなのです。

このように元々はソニーのCinema Lineに搭載された機能だったのですが、2021年2月25日に提供開始されたファームウェアアップデート(Ver:2.0)により、α7SⅢでもS-Cinetoneが使えるようになったのです!!




露出によって変わるガンマカーブ

S-Cinetoneは、従来のガンマカーブと比較して以下のような特徴があります。

  • ハイライトのコントラストが低いため、ハイライトの見た目は柔らかく軽い。
  • 低照度のコントラストが少し高いため、低照度の外観が強く、彩度が高くなります。

 
これらの特性により、露出を調整することでルックを制御できます。

ハイライト特性
ハイライト部分のコントラストは70%のビデオレベルから徐々に低下し、カーブは穏やかなままです。
ある程度のハイライトコントラストを維持するために、飽和レベルまで傾斜します。なぜならこのうち、ハイライトエリアでは、オブジェクトは柔らかく見える傾向がありますが、細部はまだずっと残っています。
これらのハイライト特性は、滑らかな画像を作成するだけでなく便利です。
また、非メインオブジェクトが目立ちすぎないようにするためにも使用されます。

低照度特性
曲線の暗い部分は、コントラストを少し高めます。このため、オブジェクトの画像はクリアで豊かな色に見える傾向があります。

黒レベルとシャドウの特性
S-Cinetoneの黒レベルは1.5%のビデオレベルです。従来のビデオよりも少し低いです。
上記の低照度特性とともに、黒レベルが調整され、オブジェクトの最も暗い影の領域が見えない場合があります。ただし、完全にクリップされていない為、黒を3%より高いレベルに設定することで見えるようにします。

色再現性
肌の色が最も大切な色であり、S-Cinetoneの総合的な色再現特性はナチュラルです。ただし、カーブがあるため、レベルによって色の再現が変化します。
例えば、露出が少し暗いオブジェクトを撮影すると、色がより再現される傾向があります。

ダイナミックレンジ
S-Cinetoneのダイナミックレンジは460%です。 S-Log3よりは低いですが、バランスはダイナミックレンジとノイズレベルの間は、高品質のビデオ画像に適しています。

参考:S-Cinetone Whitepaper Version 1 (Google翻訳)

さて、何のことだか今一つピンと来ないですよね。。。
要は、上記のグラフのように、露光量が多い場合、普通の場合、少ない場合で、ガンマカーブが変わり、撮れる映像の質感が変わると言うことです。

実際に試してみましたが、露出オーバー一歩手前ぐらいで撮った場合、かなりフラットな画が撮れました。
(図で言うと一番上のfull rangeです)

かと言って若干アンダー目に撮ると、一気にコントラストが高くなるので、その特性は知っておいた方が良いですね!

あと、ダイナミックレンジが狭い分、S-Logのように後であれこれ触れませんので、撮影時にイメージ通りにカメラに収めるつもりで臨んだ方が良いですね。(撮る時に作り込む技術を伸ばす良い機会でもあるので)
ちなみに、4:2:0 8bitでも割とゴリゴリなグレーディングに耐えられるので、グレーディング自体は全然有りかと思います。
ただし、決め打ちしてる素材なのでLogのようには考えない方が良いですね。

要は適正な露出で撮って下さいと言うことなのですが、その点に関しても情報をまとめさせて頂きます。




適正な露出

露出の目安です。

  • 肌の色を70%で露出:少しフラットになります。
  • 肌の色を60%で露出:少しコントラストが強くなります

個人的には60%~65%範囲がしっくり来ましたが、これは好みもあるかと思います。
ゼブラを65%に設定してカラーチェッカー で確認したのが下の画像です。

※設定情報とヒストグラムは後から貼り付けたものです

画質が悪くて見にくいですが、上部の18%グレーをしっかり捉えており、下のカラーチャートの上から2段目にあるスキントーンにもゼブラがかかっています。
ヒストグラムを見ると、この状態で白飛びと黒潰れがありませんので理想の状態となりますが、あくまでも屋内の照明環境ですから、外だと55%〜60%ぐらいになるかと思います。

白飛び防止に関しては、下限ゼブラモードを109%、もしくはもう少し余裕を持って105%ぐらいでも良いかと思いますが、あくまでも露出はミドルグレーを基準に考えますので、S-Logのようにオーバー目ではなく「適正」を心がける必要があります。
露出計もあまり信用できない時がありますので、ライブビューやEVFと実際の被写体を見比べて何が正しいかを判断するのは大事です。




暗所ノイズ検証

α7SⅢの強みといえば暗所撮影、そして非公式ながらも確実に存在するデュアルネイティブISO。
デュアルネイティブISOと呼んで良いのかは判りませんが、現象としてはそれを示すものですので、ここではそう呼ばせて頂きます。

ちなみにデュアルネイティブISOとは、低感度時(Base)と高感度時にISOが切り替わり、高感度側のISOが動き出したタイミングでノイズが減るという技術のことを指します。

そして、それはどのガンマを使っているかでも変わるのですが、例えばS-Log3の場合は、Base ISOが640で、ISO 12800から高感度側が動き出すといった具合で、ケチってISO6400でザラザラの映像になるぐらいならISO 12800まで上げてNDフィルターを使うといった異次元な事ができるわけです。

さて、S-Cinetoneはどうだったかと言うと、以下のとおりです。

夜の空
  • 低感度(Base):ISO 100
  • 高感度(2nd):ISO 2000

ISO2000でノイズが減ったのは判りますか?(見にくくてすみません)
ノイズの量は光源がどれぐらいあるかでも変わってくるので、今回のように暗闇を撮る場合はISO2000以降すぐにザラつきますが、ロウソク一本でもあればISO16000ぐらいまではなんとか使えると思います。

ちなみに上記の写真は違いを判りやすくする為に露光量を+3加えてますが、実際はこんな感じです。

ちょっと暗過ぎで判りにくかったですね。。




まとめ

S-Cinetoneとは、グレーディング無しでそのまま使えるように開発されたルックで、露出によって変わるガンマカーブの特性を持っている為、適正露出を見極める必要があるのと、2nd ISOは低めの2000からとなるので、暗所撮影でも光源は確保しておきたい(の方が良い)と言うことでした。

最後に僕が試してみた設定を載せておきます。

  • ピクチャープロファイル:PP11
  • ブラックレベル:+3
  • ガンマ:S-Cinetone
  • ブラックガンマ:中 0
  • ニー:オート
  • カラーモード:S-Cinetone
  • 彩度:-2
  • 色相:0
  • 色の深さ:全て0
  • ディティール(レベル):-2

あまり変えてませんが、デフォルトだとちょっと硬い印象だったので、そこを微妙に変えてみようと思い、上記の設定にしてみました。

また使っていくうちに新しい発見があるかと思いますので、その時はまた別の記事でご紹介させて頂ければと思います!

それではまた!

★こちらの記事も是非ご覧下さい!
»SONY:S-Logの基礎知識【撮影設定の選び方からLUT適応まで】


撮影, 機材
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Shinpei Nakamura(ADEMOYO)

2014年から映像制作を開始。
制作案件はMVを中心にライブビデオや企業/店舗のPRビデオまで幅広く、企画から撮影/照明/音声/編集に到るまで基本ワンオペのハードモードFilmmaker。ヒーヒー言いながらやってます。
旅と屋台を愛し、2019年はストック素材撮りと称して1年弱アジアからヨーロッパを彷徨いながら撮影を敢行。超楽しかったです(^^)
このブログでは、誰でもカンタンに出来るビデオ撮影方法から、こだわり抜いた撮影/編集まで、割と広めの役立つ情報を公開していこうと思っています!