
プロアマ問わず、すっかり定番アイテムとなったカメラスタビライザー。
特に電動モーター式の3軸ジンバルが主流となっておりますが、ツインハンドの吊り下げ型と、ハンドヘルド型(ソフトクリーム持ち)の二種類がありますよね。
どんな違いがあるか皆さんご存知ですか?
今まさに購入を考えられている方は、なぜそのタイプを選ぼうとしているのか、しっかり整理できてますか?
この記事では、DJIのRonin-M、Ronin-S、Ronin-SCの3タイプを比較し目的別の選択方法を説明していきます。
手持ちの機材との兼ね合いもありますので、絶対に失敗したくないジンバル選び。経験に基づく意外な切り口の意見も交えながら説明しますね!
ところで、英語では「Gimbal(ギンバル)」と発音しますが、日本では「ジンバル」ですよね。どっちが正しいとかは置いといて、ここでは違和感無く進めていく為にも「ジンバル」と呼びたいと思います。
物自体はカメラスタビライザーという機材なのですが、そこも「ジンバル」で合わせていきます。
DJI Roninシリーズ3種類を比較。失敗しないジンバルの選び方
僕は2016年以降ほとんどの撮影現場でRonin-Mを使っています。
その前はSteadicam MERLIN2( ステディカム マーリン2)という機械式のスタビライザーを使用していました。
機械式と電気式の違いも重要なのですが、これはまた別の記事で書くとして、MVの撮影現場などで感じた事も交えて、長所と短所をのお話をしたいと思います。
1-1 ジンバルとは
ここで説明するジンバルとは電動モーター式の3軸ジンバルを採用しているカメラスタビライザーの事を指します。
現代の映像制作においては既に必需品となっており、安価な製品が次々にリリースされだした事により、ブレのないスムーズな映像撮影はアマチュアにも手の届くものになって来ました。
機械式(非電動)と比べて準備やオペレーションが手軽になったこともあり、ミラーレスカメラの普及に比例してコンパクトな設計のものが数多く販売されています。
1-2 タイプ別の長所と短所
それでは早速下記の3つのジンバルの長所と短所を紹介します。
DJI Ronin-M

重量が2.3Kgと従来のRONINの約半分の設計。両手で持つ吊り下げ式のタイプで、そのほかにも、アップライトモード と言って上下逆さまに持つ使い方や、ブリーフケースモードと言って縦に構えることで狭い場所での撮影が可能になるモードもあります。
■長所
・カメラの中心からハンドルが離れているのでパンしやすい(腕の可動域の都合)
・トップハンドル(真ん中のグリップ)のおかげで受け渡ししやすい
・両サイドのハンドルバーを外したり、グリップを持ちやすい角度に固定できる
・専用スタンドに置くので、よっぽどの衝撃がない限り倒れないので安心
・イージーリグとセットで使うことで重さから解放される
・雨の撮影でもビニールシートで屋根を作れる(かなり主観的)
■短所
・直接地面に置けない(専用スタンドに置く必要がある)
・持ち運びが不便
・カメラの向きを任意の角度に調整するにはリモコン操作が必要
・腕が疲れる(特に顔の高さをキープする場合)
・本体に操作ボタンがついていない
・カメラのライブビューを見ることは諦めた方が良い(モニター必須)
・モーターのパワーがそこまで強くないので急な動きに弱い
DJI Ronin-S

ハンドヘルドタイプのジンバルで本体に操作ボタンが配置されている他、拡張性が高く多機能。サードパーティー製のアクセサリを追加することで、撮影の幅がさらに広がります。
■長所
・モーターのパワーが強い
・顔の高さの撮影でも腕が疲れにくい
・ちょっと置きたい時にグリップ三脚が便利
・本体の操作ボタンが便利(ジョイスティックを含む)
・特殊なアングルを除いてはカメラのライブビューが有効
・対応カメラ用フォローフォーカスが付いている
・片手ならではのショットを撮影できる
・バッテリーが最大12時間
・三脚に固定できる
■短所
・結構重たい
・グリップ三脚で地面に置いて目を話すのは危険(転倒しやすい)
・構造上イージーリグなどの大幅な重量軽減装置は利用できない
DJI Ronin-SC

本体重量は1.1kgとRONIN-Sから約40%の軽量化を実現しており、それでいて多彩な機能はしっかり受け継がれている。本当にカバンに入れて持ち運べるジンバルです。
■長所
・とにかく軽い(1.1kg)
・手振れ補正機能の安定感が素晴らしい
・メカニカルロックが持ち運び時にも役立つ
・ポジションロックシステムがありがたい
・良さをRonin-Sから引き継いでいる
・価格が安い
■短所
・積載重量が低いので、重いもの載せて激しくは動けない
・レンズが重いとファインダーがアームに干渉する
3種類のジンバルの長所と短所をピックアップしました。
この中でどうしようもなく置いていかれてるのはRonin-Mという印象を受けざるを得ませんね。
しかし映画の撮影現場などではツインハンドタイプのジンバルは主流ですので、要は大人数での撮影か、そうでないかという点が分かれ目のようです。ただRonin-Mに関しては積載重量がRonin-Sと同じなので、そこの差別化が出来てない以上、今の個人撮影時代の中ではもうすっかり過去のものなのかもしれません。
REDやARRIなどの大きめのカメラを使った本格的な撮影現場では、同じ吊り下げ式で積載荷重4.5 kgのRonin-MXやRonin2を採用する事になるでしょう。
1-3 失敗しないジンバルの選び方

機材選びの場合、目的が明確なほど選びやすいです。
更に付け加えると、どういうシーンでどのようなショットを撮影したいのかまで解っていれば自ずと必要な機材は見えて来ます。
また、一人で撮影するのか、クルーなのかによっても変わってくるでしょう。
ですので、まずは直近1年以内に多くの撮影現場で活躍し、何かしらの形で自分に利益があるものを選ぶと良いです。
撮影現場というのはプライベートの旅行先も含めてです。
「買って失敗した」と思うのは
・結局アクセサリを色々購入する事になり高く付いた
・使うのが億劫になる重さ/めんどくささ
大抵の場合この辺りなのですが
要は元から使う機会が少ない方は、そう感じやすい傾向にあると思います。
そういう方は機会を増やす為にも手軽さを重視した方が良いでしょう。
また、アクセサリに関しては1つか2つは元から勘定に入れて置くと良いです。
たくさん使う機会を産むことが出来れば、コストが分散されますし、評価をもらえる機会も増えますので、結果的に満足に繋がりやすいと思います。
そういった観点で、今僕が選ぶとしたらRonin-Sになります。
理由は以下の通り
・腕への負担がRonin-Mよりまし
・本体の操作ボタンが便利(ジョイスティックを含む)
・グリップ三脚があるので直置き出来る
・撮影したショットをプレビューで確認しやすい(&見せやすい)
・小規模な撮影が多いので手軽さ重視
本当は吊り下げタイプが好きなのですが、ワンオペ中心に考えるとベストなチョイスかと思います。あと積載重量の問題があるので、SCは趣味で買うなら良いですが仕事では使えないという判断です。
失敗しない選び方でした。
欲張って色んな用途で使おうとすると不満が多くなるので、初めから使うシーン(どんな仕事か旅行か等)を絞り込んでおくことが重要だと僕は思っています。
ジンバルを使った動画撮影に特殊な機能は必要無い【基本は保守的】
1-4 モデル別仕様のまとめ
最後に仕様の比較表を載せて置きます。価格は2020年6月現在のものとなります。

DJI Roninシリーズ3種類の比較と失敗しないジンバルの選び方についてお話ししました。
より良い作品作りにおいてのジンバルの仕事というのは、なかなか深いものがありますので、その事に関してはまた別の記事でお話ししますね!
では!