初めて撮影用の照明を購入される方で、Godox ML60を買おうか悩まれている方が多いのではないでしょうか?
ソフトボックスもセットで4万円以下という破格で、付属のアクセサリーも充実しておりますので、勢いに任せてえいやーと買ってしまいたいところです。
ただ、一応初めて照明を買うわけなので、折角買うのなら長期的に色んな場面で使いたいと言う気持ちもあり、色々気になる事が出てきますよね。
例えばこんな感じではないでしょうか?
- バイカラーモデルの60Biにしといた方が良いのでは?
- Bowensマウントじゃないらしいけど大丈夫?
- もう少し大きいソフトボックスを用意した方が良いのかな?
- 60wの明るさがイメージできない。
僕も購入するまでは少し不安でした。
しかし結論から言うと、全く気にする事は無く、買って良かったと自信を持って言えます。
実際に色んな撮影現場で使用しておりますが、実に大活躍してれています。
そこで、この記事ではGodox ML60のキット内容のご紹介に加え、実際の使い勝手や性能をリアルにレビューさせて頂き、購入する前に知っておいた方が良い情報をお届けいたします。
上記の4項目についてもしっかり触れていきますね!
ちなみに僕が購入したのは、バッテリーが2つ付属しているこちらのキットです。
Godox ML60のキット紹介
2021年5月14日に発売されたGodox ML60ですが、コンパクトで取り回しが良いゆえに、動画撮影のみならず写真撮影の定常光としても重宝されています。
ライトスタンドに固定するも良し、バッテリー駆動で手持ちも良しという優れものだけあって、それなりに付属品があるので、まずは一通りご紹介させて頂きます。
同梱物
- 本体ML60
- 保護カバー
- リフレクター
- ハンドル
- リモコン
- バッテリーボックス
- AC電源コード 5m
- DC電源コード 1.5m
- DC電源コード 0.2m
- アダプター
- アダプターホルダー
- クリップベルト
- キャリングケース(バッグ)
- ソフトボックスAD-S60S (直径60cm)
- ディフューザー
- インナーディフューザー(白/金&銀)
- グリッド
- ソフトボックスの袋
- NP-F970バッテリー×2個 (中国製)
- USBタイプC充電ケーブル×2本
福袋並みに色々入ってます。
本体の仕様と、割と嬉しい付属品をご紹介します。
本体ML60
出力 | 最大60W |
色温度 | 5600K±200K |
照度 | 69000LUX @ 0.5m、13000LUX @ 1m |
CRI | 約96 |
TLCI | 約97 |
輝度調整範囲 | 0-100% |
動作温度 | -10〜40℃ |
サイズ | 約145×88×8mm重量:0.77kg |
サイズも重さもズームレンズ1本分並みです。
13000LUX @ 1mというのがどれぐらいの明るさなのかについては記事の後半で画像付きでご紹介します。
他社からも同じクラスの商品が出ておりますが、この円柱状のスッキリしたデザインは今のところGodoxだけなんですよね。
リモコン
単4電池2本のタイプです。
ON/OFFはもちろん、0%〜100%の照度調整のほか、バイカラーモデルにも対応しているので色温度調整メニューもあります。
ML60を手の届かない高い場所に設置した際は役立つアイテムです。
キャリングケース
キャリングケースの有無って結構重要だったりするんですよね。
よくあるのが、発泡スチロールの梱包材が持ち運び用のケースとしても使えるというパターンですが、上手く入らなくて片付けに時間がかかるというのがあります。
その点ML60に付属のキャリングケースは中身にある程度余裕もありますし、割としっかりした造りなので安心です。
NP-F970バッテリー
正確には「NP-F970バッテリーの模造品」になるのですが、バッテリー自体にUSB-Cポートが備わっており、残量インジケーターもついているモデルなので、模造品とは言えありがたいです。
もちろんUSB-C to Aのケーブルも付属してますので、外出先で電源が無い環境でもモバイルバッテリーなどで充電ができます。
但し、これはおまけなので同梱されるバッテリーの種類はその時々で変わる可能性がありますのでご注意を。
Godox ML60の実践レビュー
Godox ML60のサイズ感を考えると、明るさがどんなものなのか気になるところですよね。
また、ソフトボックスは単体で¥5,000程の商品ですが、直径60cmという事で実用性も確認しておきたいところかと思います。
順番に解説いたします。
1%〜100%の明るさを検証
Godox ML60を検討されている場合、用途として一番多いのは、ソフトボックスを付けた状態で被写体を中心に半径1.5m~2m前後に設置するケースではないでしょうか?
柔らかい光を狙うとなれば、それくらいの距離感になってくるはずなので、動画撮影を想定して下記の条件で検証させて頂きました。
- 被写体までの距離:1.5m
- インナーディフューザー:あり(白)
- ディフューザー:あり
- グリッド:なし
流石に1%の出力だと暗いです。
ISO640まで上げても露出は-1.3ですので、最低限の露出を得るにはISO2000〜3200は必要になります。
一気に照度が上がり、ちょうど良い露出が得られています。
Log撮影する場合はベースISOが割と高い位置に設定されているので、この辺りが基準になってくるかもしれません。
露出+2.0で白飛びギリギリのラインです。
50%出力でここまで露出を稼げるので、ISOをもう少し落としても良いですし、F値は絞っても良いですね。
露出+2.0をキープした状態で、ISO400まで下げれます。
ここまで明るければ、画作りがしやすくなります。
例えばハイフレームレートの撮影でシャッタースピードを上げたり、被写界深度を深くすることも容易ですね。
50%出力以降は露出+2.0をキープした状態で調整してますので、見た目やヒストグラムは同じはずです。
スキントーンのの適正露出を考えた場合はもっとISOを下げたり、F値を絞り込む必要があるので、結論このような環境での撮影なら十分な光量を得られると言えます。
RAWで写真を撮られる方の場合は、露出アンダー目で撮る事が多いと思いますので、ISOを最小にしてシャッタースピードをもっと上げても問題無いですね。
ソフトボックス AD-S60Sの仕様
冒頭でも挙げたように、Godox ML60のマウントはBowensマウントでは無く、一回り小さいオリジナルマウントです。
まずはその点が引っかかるという方が多いと思うのですが、そりゃこれだけ光量があるのなら、その内大き目のソフトボックスを買って、そっちでも使いたいって考えますよね。
この件については僕も同じ事を思っていたのですが、実際手にしてみて「コレはこのソフトボックス以外で使う事は無いだろうな」と悟りました。
と言うのは、ML60の良さが発揮できるのは、あくまでもコンパクトな環境を想定したものであって、それ以上の環境で撮影を行うなら別の照明を選択するであろう事がリアルにイメージできるからです。
もしどうしてもと言う場合は、Godox S2 S型ブラケットを使用する事でBowensマウントに対応できますので、そこまで重要な問題では無いと言う事です。
という事で、ソフトボックスの仕様を解説いたします。
ソフトボックス内の構造
直径60cmのオクタゴンタイプとなっており、アンブレラ(傘)と同じ原理で開くようになっております。
その為、ボックス内に金属のパーツや支柱が8本あり「影にならないのかな…」と思ってしまうところですが、心配には及びません。
更に言うなら、光をより柔らかく拡散させる為にインナーディフューザーを取り付ける事が推奨されるのですが、付けるとこんな感じになります。
うっすらドーナツ型の光源になります。
ただ、この状態で壁を照らしたとて、ドーナツ型になるわけでは無いのでご安心を!
しかし解っていても残念な気持ちが拭えないのは確かです。
まぁどのタイプでもインナーディフューザーは大抵付いているので、そんなもんです。
グリッドに関しては特段問題は無く、しっかり光をシェイプしてくれますので、照射範囲を限定して画作りをする場合は役立ちます。
ちなみに、付属のハンドルにはアンブレラを差し込める穴が空いているので、ソフトボックスを使わないという選択肢もあります。
かなり優秀です!
セッティングについて
作りたい画にもよりますが、正面ではなく斜め45°の高さから当ててあげると雰囲気が出ますのでお勧めです。
ライトスタンドに固定して使用する際、付属のハンドルで角度調節が出来るので、ある程度はそれで問題無いと思いますが、出来ればブームアーム付きのライトスタンドを用意する事をお勧めします。
画像を見て分かる通り、ブームアーム有り(右)の方が画として切り取れる範囲が大きくなりますし、真上や後方斜め上にも設置可能です。
物撮りでテーブルの直上から照らしたい時にも有効ですし、いずれもっと大出力の照明を購入した際には、ヘアライトやリムライトとしてサブの活躍が見込めます。
本格的なセンチュリースタンドじゃなくても、足幅の広い安定したタイプはありますので、僕はSmallRig RA-S280Aを使っています。
スペース的な問題で、ライトスタンドが立てれないというケースはよくありますので、そんな時には重宝するアイテムです。
照明の設置方法に関して興味のある方は、是非こちらの記事もご覧下さい。
»3点照明を使って動画のクオリティを上げる【ライティングの基本】
バイカラーモデルGodox ML60Biとどっちが良い??
5600K固定のML60か、2800K〜6500K調整可能なML60Biか、迷うところですよね。
金額は¥5,000程しか変わりません。
その他の仕様はほとんど同じですが、違うのは最大の照度が10,100LUX@1mという点で、ML60の13,000LUX@1mに対して役77%の出力となります。
僕の場合は他の照明機材が5600K固定のものが多かったので、なんとなくML60を選びましたが、これから照明機材を増やしていくのであればML60Biという選択は有りだと思います。
30%近く照度は落ちますが、前述したようにML60の75%出力でも十分な明るさを確保出来ておりましたので、困るようなことにはならないはずです。
まとめ
Godox ML60のキットをレビューさせて頂きました。
正直この価格でここまで揃っているなら文句のつけようがありません。
当然これよりも明るく高品質な照明機材は山ほどありますが、とりあえず一つ持っておきたいということなのであれば、ML60(又はML60Bi)を購入して後悔することは無いです。
リフレクターを使った場合や、直光をバウンスさせた場合、ソフトボックスを付けた場合など色んな使い方をする事で、将来本気の照明を購入する際の参考になるはずです。
また、光源と被写体との距離感による見え方の違いも体に叩き込めると思うので、そういった意味で考えてもかなりお手頃です。
是非色んなシチュエーションで試してみて下さい!