
ジンバルを購入するにあたって、便利そうな撮影機能に着目していませんか?
最近の製品は何かとスマホで連携だのゴチャゴチャしていますが
はたしてその機能本当に必要ですか?
デモ映像を見ていると、どうしても機能性が気になってしまうものですが、
ぶっちゃけそんな変わった映像撮る機会が何回あるのでしょうか?
それよりもスタンダードなショットを撮る機会の方が断然多いはずです。
この記事では、見失いがちなジンバルを使った基本的な動画撮影について説明していきます。
皆さんがどんな映像を撮りたいのか、ぼんやり思い描いている部分が明確になってくると思いますので、是非お付き合い下さい。
僕は普段アーティストのMVの撮影で、ほぼ毎回ジンバルを使うのですが、結局こういう考え方に辿り着く理由などを交えて説明していきたいと思います。
ジンバルを使った動画撮影に特殊な機能は必要無い

撮影の本分が何かという事。
そもそも従来の目的を見失っている
ジンバルを導入する目的って、ブレの無い映像を撮りたいからですよね。
もしあなたが、それ以外の機能とか拡張性に着目して購入を検討しているのであれば一度立ち止まって下さい。
そもそもジンバルに求められる仕事は、移動しながらの撮影をブレを無くサポートすることで有り、ほとんどの場合それを人間がオペレーションします。
ジンバルはあくまでも補助なので、誰が使っても同じクオリティが出るというわけでは無く、それを扱う人間の技術によって、良くも悪くもなります。
映像の撮影はカメラやジンバルがやってくれるのではなく、人間がやるのだという考え方を強く持つ必要があります。
使う人間の技術を棚に上げていると、何回も買い替えることになるでしょう。
特殊な機能はほとんど使わない
何でも一つの機材で出来れば便利に感じるかもしれませんが、実際よく使う機材って、その為だけにあるということが多いんですよね。
得意な所がハッキリしていて、そこが一番輝いている。こういった機材は長く使う事になります。
逆に、あれもこれも出来る機材は影が薄いというか、主な機能以外は使わなかったりするので、ハッキリ言ってその機材である必要が無いわけです。
回転/ひねり機能は不要です
回転させたい場面ってほとんど無いはずなんですよね。
だから個人的には回転機能は必要無いと思っています。
考えて見て下さい、毎回どの作品も回転させまくってたら変じゃ無いですか?
そもそも映像において画面が傾いていくという演出は「不安」を誘うもので有り、そのジンバルの回転機能がドンピシャでハマる機会などなかなか無いでしょう。
「いやいやそんな事ない!Vlogとかでアクロバットな動画沢山あるやん!」という意見もあるでしょうが、一本の作品の中に2回その手法が出て来た時点で視聴者は冷めてしまうでしょう。
ならばその一回はその機材である必要があったのか?
アイデアを駆使してそう見せることは出来なかったのか?
このように考える方がよっぽど楽しめるのではないでしょうか。
被写体自動追尾機能は不要です
よくレビューとかで「良いポイント」として上げられていますが、要りますか?
全く構図を無視したAI撮影により被写体を追尾し続ける事が出来たとしても、そこには人の意思が絡んでおらず、これほど見ていて退屈な映像は無いでしょう。
例えばフレームインさせたりフレームアウトさせたり、そのスピードや方向も含めて人間が判断する事で味が出ますので、まだまだ開発途中の機能なのかもしれませんが、完全に不要ですね。。
偽物っぽさを強調する材料
スムーズ過ぎる映像や、キビキビカメラを振り回す映像は、そのショット単体で見ると確かに凄いですが、作品の中では逆に偽物っぽさを醸し出します。
なぜなら、視聴者が入り込める映像の特徴は、自然で気付かせないところにあり、過度な滑らかさは逆に質感を損ないかねません。一回気になり出したら視聴者はそればっかり気になってしまい、作品に入り込めなくなるわけです。
映画などで、素早くパンを振る時って大体が人物目線で、そういったシーンは大抵スリリングな場面だったりします。そしてこれも同じく、一つの作品内で何度も使われることは無いですし、その一回の高速パンはジンバルである必要が無いというか、逆に手持ちの方が臨場感出そうじゃないですか?
過ぎたるは及ばざるが如しということです。
ちょっと否定的な話が多くなってしまいましたが
撮影のセオリーを理解した上でジンバルを使う方が、より効果的なので、そこらへんをもう少し掘り下げて見ます。
撮影の大半は地味な動きである
ジンバルの話をしているのにこんな話をするのはあれなんですが、美しい映像を撮りたければ、ほとんど動かないのがベストです。
最初にお伝えしたように、ジンバルはあくまでも撮影の補助をする道具ですから、必要でない場面で動き回ることは避けましょう。
不必要な動きは視聴者にストレスを与えます。
静止しているイメージで撮る際は、全く動きがないのはダメですが、5秒間に20cmぐらいの動きをイメージして下さい。それでも動き過ぎかもしれません。もちろん演出上固定で取る必要がある場合は除きますし、激しい動きを追いかけるショットもあると思いますので、それらを除いた時の話です。
動きのある絵を撮る時であっても必要最低限の動きで、しかもカメラの向きをキョロキョロさせずに停止ポイントまで無駄なく運ぶ必要があります。
余計な動きが命取りになるという話ですが、そもそもこれはジンバルの話というより、カメラマンとしての話かもしれませんね。
ちなみに、長い距離を高速で移動しながら撮影する方が軌道が安定して見えるので楽なのに対して、短い距離をゆっくり撮影するのって「迷い」みたいなものが手に出やすいので結構難しいと思っています。
ジンバルを使わない選択もある

極端な話ですが、撮影内容によっては無理にジンバルを使う必要が無かったりします。
10年前にその機材は存在しなかった
昔の映画などを見ていて思うのが、「当時の機材でよくこれほどの作品作れたよな」に尽きるのですが、工夫しながら欲しいショットを実現していただけなんですよね。
「この機材を使ってどんな絵を撮ろうか?」ではなく「このシーンはこう撮りたい」というのが先にあって、それを実現する過程でカメラをアシストする機材が浮かび上がってくる。
機材に振り回されることなく映像の本質を捉えて撮影に臨みたいものですね。
色んな作品を見て欲しい
今まで何気なく見てきた作品を改めて見返して見てください。
さすがプロだな~と思っていた作品も良く見ると結構ガタついてたりするもんです。
しかしなぜ気にならなかったのか?
そこが重要なポイントです。
そもそも映像とは作品の内容を表現するメディアの1つであって、技や性能を披露する場ではないんですね。見る人を作品に引き込む事に注力しておりますので、気が逸れるような要素は徹底的に排除しています。
なので、ジンバルのスムーズさにかまけて不必要に動く事や、機材の性能をこれ見よがしに披露する事なんてあり得ないわけです。
まとめ
発展途中の技術に対して、保守的な意見が多くなってしまいましたが
ジンバルは間違いなく必要です。これは断言しておきます!
必要ないのは特殊な機能であって、そこは無視しても良いのでは?という話でした。
色々試してみたい方は、どんどん試して欲しいですが
失敗したくないという方は、スタンダードなショットを手に入れる為のパーツ選びだと思って検討してみてください。良い出会いがあると思います。
また、すでにジンバルをお持ちの方は地味な動きにもトライして見てください。
カメラマンである自分の拡張パーツに過ぎないんだなということを実感できると思います。
ジンバルを使った動画撮影に特殊な機能は必要無いというお話でした。
クライアントから要望で妥協せざるを得ない場合もあるでしょうが
ご自身の作品を作られるのであれば、是非参考にして見てください。
では!