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一眼レフでスローモーション撮影する際の間違い5選【割とやりがち】

投稿日:2020-06-25 更新日:

スローモーション撮影


Androidスマホ「Xperia XZ2」ってフルHD画質で960fps撮影が出来るみたいですね!

凄い時代になったものです。
流石にそこまで凄いと何撮るのか気になりますね。

しかしスローモーションの需要は確実に有る事がわかりますし、実際僕もスローは好きです。だからこそ、より美しく表現したいと常日頃思っておりますが、

実は、より完璧なスローモーションを撮影する為にはフレームレートを変える事以外に沢山の注意点があるのをご存知でしたか?

これが意外と忘れられがちなので今回はその中の5つを紹介したいと思います。

撮影中にこれら5つの間違いを犯すと、作品が台無しになってしまう可能性がありますので要注意です!



一眼レフでスローモーション撮影する際の間違い5選

スローモーション撮影失敗


ハイフレームレートでフルHD撮影できる一眼レフカメラはある程度限定されておりますが、2020年現在の上位機種なら1920×1080/120pや4K/60pまでは大体カバーされていると思います。LUMIX GH5SだとフルHDで240fpsも可能ですね。


シャッタースピードを上げ忘れる

一番多いのはシャッタースピードの設定ミスです。上げ忘れです。

通常の撮影では多くの方がフレームレート24fpsに対してシャッタースピード1/50で撮影しますが、これは180度シャッタールールに基づいた設定で有り、シャッタースピードはフレームレートの2倍にする必要があるからです。

上記の理由からスローモーションを撮影する場合、仮に60fpsで撮影するならシャッタースピードは1/125に切り替える必要があります。もしシャッタースピードを1/60で撮影してしまうと、モーションブラーの多い不鮮明スローが出来上がりますので、これは何としても避けるべきです。

【重要】 一眼レフでシネマティックな動画を撮影する為の設定


露出不足

シャッタースピードを上げる事で露出は失われますので、室内や夜の屋外で撮影する際は大容量の照明が必要となります。例えば240fpsなどで撮影する場合、シャッタースピードは3段早くして1/500にする必要があるので、相当暗くなる事を覚悟しなければなりません。

太陽光の下での撮影ならすんなりいくでしょうが、夜の撮影だったら相当な光量の照明機材が必要になる事を覚えておきましょう。また、事前に一度テストすることをお勧めします。

一眼レフ動画撮影で露出をコントロールする【何を捨てて何を得るか】


ちらつきの発生

一般的に言われるフリッカー発生条件をクリアしている状態でも、照明機器の品質によっては”ちらつき”が顕著に現れる場合があります。24fps撮影では気にならないレベルだったとしても、60fps、120fps…とフレームレートが上がるにつれて目立つようになります。

この問題の怖い点は、実際に撮影した後プレビューで確認する際、自動でスローに変換されないタイプのカメラだと問題に気づく事が出来ず、編集する時に初めて発覚する事です。

僕が所有しているCanon EOS 5DmkⅣに関しては、60fpsは変換されませんが、120fpsは自動で変換されます。そもそも120fpsでプレビューって出来ないから変換する仕組みなのか、そこはちょっと解りませんが、撮影中にライブビューでの確認は色々と見落としやすく、この問題も見落とされがちな問題の一つになります。



無駄にフレームレートを上げてしまう

後で編集の時に選択の幅を持たせる為に、予め高めのフレームレートで撮影するのは間違いです。これもやってしまいがちですが、残念ながらアウトです。

ここでも180度シャッタールールが登場するわけですが、前述した通りシャッタースピードはフレームレートの2倍にする必要があります。仮に120fpsで撮影する為にシャッタースピードを1/250に設定しているとします。この設定で撮影したデータを24fpsに変換して使うのは正しいのですが、動きの変化が解りにくくもっと早く再生させたいという理由で60fpsに変換して使うとしましょう、おそらくそのフッテージは違和感のあるものになるでしょう。

勿論気にならないという方はいると思いますが、「完璧なスローモーション」という観点で考えるとアウトです。

あと、1秒間に詰め込むデータ量が多くなればなるほど圧縮比が増しますので、その分データの質が落ちることになります。勿体無いですよね。

ハイフレームレート撮影はストレージ容量も食いますので、そういった様々な理由も含めて考えると、極力無駄撃ちは無くすべきですね。



ピンボケ

せっかくのスローモーションなのに、割と多いのがピンボケです。

それもそのはず、120fpsで撮影した場合24fpsに変換すると5倍のスローモーションが出来上がるのですが、同時にフォーカスが合うまでの時間や、外れてしまっている時間も5倍になるという事です。これは恐ろしい話です。

カメラや被写体が動かない撮影では心配いらないと思いますが、動いている被写体を追いかける場合要注意です。

特にジンバルに乗せてAFを使っている場合などは、制御しにくかったりするので危ないですし、そもそもカメラ自体が120fps以上のフレームレート(ハイフレームレート)撮影の場合はAFが無効になるという物も多いです。

でもそんなピンボケの作品あんまり見ないですよね?

そりゃそうだと思います。お蔵入りしてるんじゃないでしょうか。

上記のようなミスが起こる背景としては、120fpsに設定した段階でシャッタースピードが自動的に1/125になる為、[露出が下がる]→[絞りを開いて明るさを確保]→[被写界深度が浅くなる]という流れからでしょう。この場合のシャッタースピードは本来1/250に設定する必要があるので、元々F5.6で撮影していたのなら2段解放してF2.8での撮影となります。

この地味な変化に対して自覚的でなければ、ミスを誘発することになります。



一眼レフでスローモーション撮影する際にやりがちな間違いを5つ紹介しました。


何でもかんでもスローってのはどうかと

スローモーション撮影


スローモーションは美しいですし、とても引き込まれます。

スローモーションだけで構成された作品もありますし、まるで時が止まったかのような静けさは心地よいものです。

ただしそういった作品を除いて、やたらめったらとスローを作品内に入れる事は避けるべきです。
単に見栄えが良くなるからという理由で多用しすぎる為に、本当に意味を持たせたいシーンの印象が薄くなるほか、それに慣れてしまう事で自身の映像表現技術の進歩を妨げる事になりかねません。

ちょっと大げさな話に聞こえるかもしれませんが、カラオケでエコーを強くするとそれっぽく聞こえるみたいな感覚に近いかもしれません。

ここぞというところで思いっきり効果を発揮する事が大事です。
これはエフェクトなんかにも言えますね。

スローモーションの話でした。



僕が最初に買った一眼レフは
Canon EOS 6D(初期モデル)なんですが
スロー撮影はHD 1280×720/60pしか対応しておらず、もどかしい思いをしていました。

といっても5DmkⅢですら同じくHDの60fpsまでだったので、それで当然ぐらいの感じでHDの作品を沢山作っていました。

FHDで撮らなかったのはやっぱりそれを差し置いてもスローが欲しかったの一点に尽きます。

魅力的な表現が可能な撮影方法だからこその制約は多いですが

是非楽しんでスロー撮影を行ってください!

では!


撮影
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Indieemotion(インディーモーション)管理人
Shinpei Nakamura

ビデオグラファー / 映像クリエイター / 映像ディレクター として活動しており、建築・広告・MV などの映像制作を行なっています。
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