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ロケ撮影の許可について理解する【全員の立場を理解すること】

投稿日:2021-04-14 更新日:

ロケ撮影の許可について理解する

「この場所で撮影したいけど、ゲリラで撮影して問題ないかな?」
「少人数の撮影で、SNSやYoutubeで公開する程度なので、無許可で問題ない…よね???」

誰もが考えることですが、この質問の意図は何でしょうか?
自問自答してみましょう。

  1. 許可を取るのが面倒なので省略したい。
  2. でも怒られたら嫌だしちょっと不安。
  3. かと言って申請出して断られるのも嫌。

大体こんな感じでしょうか?
確かに撮影許可を取るという作業は面倒で時間もかかるし、出来ることなら省略したいものですが、こと商用撮影においては許可が必要無い場所なんてほぼ無いと考えた方が良いです。
かと言って個人利用が何のお咎めも無しに自由に撮影できるかというと、そういうわけでもありません。

撮影許可とは、パンドラの箱的なデリケートな一面もあるので、上手に付き合う必要があります。
そしてこの記事では、許可を取るべきかどうかという話ではなく、その背後にある考え方への理解を深め、撮影許可に対するネガティブな考え方を少しでも良い方向にシフト出来ればと考えております。

僕自身、撮影の為に数え切れないほど申請を行ってきた過去がありますので、その中で感じたことなども織り交ぜてご紹介できればと思います。




ロケ撮影の許可について理解する

ロケ撮影の許可について理解する

まず、何の為の許可なのかを理解する必要がありますよね。
イメージ通り撮影を行いたいという一心で、「撮影申請/許可」というものに対して敵対心のようなものがあるなら要注意です。
そういうものでは無いんですよね…

では、下記の順に進めていきます。

  • そもそも許可が必要な理由
  • 商用利用と個人利用
  • 無許可で撮影した場合のリスク
  • 許可の申請方法



そもそも許可が必要な理由

どこにしても誰かが管理しているので許可が必要なんですよね。
でも商業施設とかならまだしも、川とか公園とかで撮影するのに何で許可が要るの?って話ですが、管理している側の基本的な考え方としては以下の通りです。

  • 近所迷惑にならないか?
  • 通行人の妨げにならないか?
  • 公序良俗に反する行為を行う可能性がないか?
  • 危険が伴わないか?

と言った所です。
世の中には僕たちが思っている以上に、公共の場で何かしていることに対して敏感な方が多く、「迷惑」と感じられる方が苦情の連絡を入れることが多いのです。
そんなことが日常茶飯事に起きていることを国や地方自治体は把握してますから、「勝手にやってくれて良いですよ〜」とはいかないわけです。
もちろん許可が下りていたとしても、それは「占有して良いですよ」と言う意味ではなく、迷惑にならないようになら許しますということなので、勘違いは禁物です。
国や地方自治体が管理している場所は、一応お金を取りますが、金額的に考えても、それで儲けているとかではなくて、あくまでも地域の住民への配慮を優先して環境を保つというところに重きを置いてます。
なので、許可を出す側の気持ちに配慮した行動が求められるということですね。

ちなみに、ショッピングモールや商業施設などでも同じことが言えますが、こちらはブランディングという側面もありますので、「相応しく無い」という基準を持ち合わせていることがあります。

許可が必要な理由というのは相手の立場に立って考えれば簡単に理解できるわけで、人が居ない森や川でも管理している側が危惧することは多々あるのです。




商用利用と個人利用

営利目的か、個人の趣味の範囲か?という分け方で、商用利用の場合は許可できない、あるいは高額なロケーション費用が発生するというケースがあります。
そこで小規模な撮影且つ相手の提示する基準が曖昧な場合、ついつい個人利用ということで通らないかとセコい考えが頭をよぎりますが、話がややこしくなるだけなのでお勧めしません。
というか、アウトですし、後々面倒なことになります。

商用利用の基準は、今の時代特に境目が難しいですが、以下は全て商用と判断した方が結果スムーズです。

  • 撮影者がその撮影で対価を得る場合(金のやり取りがあるか)
  • その撮影素材が直接または間接的に金銭的な価値を生む可能性がある場合

なので、「CM/PVじゃ無いんで!ただのイメージ撮影なんで!」は通用しないと思っていた方が良いということです。
我々ビデオグラファーが受け手だった場合で例えるなら、正月に遊びに来た親戚の子供の写真や動画を無償で撮ってあげるのが「個人利用」といった感じで、実はその親の目論見通りで、はなからプロの兄ちゃんに撮ってもらった写真をストックサイトで売るのが目的だった、とかだったら縁切るでしょうにという話です。




無許可で撮影した場合のリスク

大きく分けて3つあります。
ちなみにどれも致命的です。

1.撮影がストップする

警備員が飛んで来て撮影中止になる。
あるいは近所から苦情が入り、警察が来るなんてことも…
そうなるとスケジュールは狂いますし、役者を含め撮影に関わる人間の士気が下がります。
さて、そうなってくると追加撮影の費用は誰が持つのでしょうか。
想像しただけで気が滅入ります…

2.クライアントが権利侵害で訴えられる

一番最悪なパターンです。
訴えられなかったとしても、第三者から権利侵害等の理由に基づく苦情又は請求を受ける可能性があります。
昨年、大手カメラメーカーの公開した動画が道路の使用許可を取ってなかったとして問題になりましたが、企業としてはダメージが大きいですよね。
場合によっては賠償責任ものになりかねません。
なので、大事なクライアントの社会的信頼を損ねない為にも、撮影許可は大切ということです。

因みに僕は下記のような文言を契約書に記しています。

甲が本制作物の使用に関して、第三者から権利侵害等の理由に基づく苦情又は請求を受けた場合は、甲は乙に対し遅滞なくその旨を通知し、甲乙は、協議により必要且つ可能な対策を講ずるものとする。但し、甲と第三者との紛争の原因が、制作物作成過程において甲の指示、仕様に起因する場合は、乙は責任を負わない。


「ちゃんと誠意を持って対応します」という点と、「クライアントの指示で使った素材に関しては責任は取れないので悪しからず」という内容です。

制作過程でやばそうなものは基本排除していきますし、もしクライアントが「この駅のホームでサクッと撮っちゃってよ!」と言ったとしても、そこはきちんと理由を説明して、お互いが困らないようにする必要がありますし、そもそも企画段階で十分な説明が必要です。


3.信頼を失う

これも痛い話です。
特に上記のようにクライアントに苦情が入るなんてことがあったら、信用ガタ落ちです。
甘かったと嘆いても後の祭り、またコツコツと信用を積み上げていくしかないです。


クライアントを守ることは、自分自身を守ることにもつながりますし、許可を取って撮影することは、そこを管理している方々の意向に沿うことであり、そのロケーションや隣接する地域の人たちの日常や環境を守ることにも繋がります。
なので、公共の場などでの撮影においては「これぐらい良いじゃないか!」という横暴な態度ではなく、多くの人の理解のもとに成立することであって、それを実現する為の謙虚さは重要かと考えています。




許可の申請方法

ロケ撮影の許可について理解する

基本的にどこに申請するにしても最低2週間はかかると思っておいた方が良いです。
申請先は大体以下の通りです。

  • 公園
    →管轄するる区・市役所へ直接申請
  • 道路
    →管轄の警察署

  • →河川事務所

  • →港湾局
  • 商業施設・店舗
    →広報窓口

県によっては多少違いがあるかもしれませんが、管轄が違うところに電話してしまっても、大体その人に聞けば解ります^^;

ちょっと余談で、花火屋さんから聞いた話ですが、警察署長と一緒に正しい花火の扱い方を学ぶイベントで公園に子供達が集まって署長と花火をしていたら、通報が入ってお巡りさんが来たということもあるそうです。
それを聞いたら、どうにもならん時もあるということは肝に命じておかねばという気持ちになりました笑

ついでに肖像権の問題にも軽く触れておくと、ビルやお城など、映り込む場合は許可が必要というケースもあります。
「もう勘弁してくれ〜」という気持ちになりますが、身の回りの素敵なロケーションって忘れがちですが大半が誰かの持ち物なんですよね。。。




まとめ

ロケ撮影の許可について理解する

知らなかったことにして、しれっと切り抜けたい撮影許可ですが、問題が発生した場合、クライアントを含め全ての人達にデメリットがあることを肝に命じ、社会的な信頼を得られる行動を心がける必要があるという内容でした。

これらを実現するには、正しい知識が必要ですし、知識がない場合は電話して聞くに限ります。
もちろん多大な労力を割くことになりますので、企画段階でクライアントとしっかり相談し、準備時間を確保しておくことで、間違った方向に進むことはないと思います。

かくいう僕も、過去に色んな失敗をしてきましたし、情報は常にアップデートされているので、思い込みで行動しないように気を付けています。

実際、場所によっては書類も必要なく、あっけなくOKが出る場合もありますが、根底にある「人の迷惑にならない」というルールは基本的に変わらないので、それを乱すようなことはあってはいけないと思います。

またYoutubeなどで個人の作品を発表する機会が増えている状況で、2〜3人で屋外撮影(公共の場)を行う分には特にお咎めがないという事実がありますが、忘れてはいけない最重要な基準は、本人の自論ではなく「秩序」で、これが乱れる恐れがある場合は取締の対象になるので、撮影の停止、または映像の使用の差留めに応じる必要があります。

「白黒ハッキリさせてくれなきゃ困る」という方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではなく曖昧な領域があるということは、ある意味善良な判断を委ねられている部分でもあると思います。
ここはそんなに突けない部分ですが、そのロケーションの管理者や周りの方々への配慮を優先的に考えて判断/行動したいものですね。

ではまた!

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Shinpei Nakamura

ビデオグラファー / 映像クリエイター / 映像ディレクター として活動しており、建築・広告・MV などの映像制作を行なっています。
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