一眼レフ、ミラーレス一眼用のレンズレビューはネット上に溢れかえっておりますが、どれも魅力的で困っちゃいますよね(懐事情…)
はたして我々動画製作者はどんなレンズを揃えれば良いのか?揃える必要があるのか?
実はこの問題、早期に解決しておく必要があります。
当然高価な買い物ですから、仮に使いにくいレンズを選んでしまったとしても、誰だってそのレンズを生かして良い作品を撮ろうとするものですし、愛着すら湧いてきます。
その努力自体は、成長に繋がるものなので良いことなのですが、残念ながら遠回りであることに違いありません。
ですので、最初にまとめてレンズを揃える方や、2本目、3本目を検討中の方は、レンズそのものの良し悪しだけではなく、動画撮影において考えるべきポイントを押さえた選択をする必要があるのです。
この記事では、焦点距離別レンズの特性と、主に人物を撮影する機会が多い場合にマストで抑えておきたい選択基準をご紹介します!
一眼動画撮影における焦点距離別レンズの選び方
ご存知の通りレンズの焦点距離によって得られる画角は変わります。
そこでまず思うのが
画角って近寄ったり離れたりすれば変わりますよね?
だったらそこまでこだわらなくて良いのでは?
その通りです。
画角は自分が動けば変わります。
ただし良くも悪くもそれ以外のおまけが付いてくるので、そこを理解しておく必要があるのです!
では早速いってみましょう!
焦点距離別レンズの特徴
代表的な焦点距離を6つ挙げます。
その画角を得る上で何がポイントになってくるのかを説明いたします。
全てフルサイズ機を使う場合の説明となります。
【レンズ選びで失敗しない】35mm換算とは?簡単な計算方法を紹介
16mm 以下のレンズ
ほぼ使いません。
魚眼レンズ一歩手前なので、被写体に近付いて遠近感を強調するような特殊なシチュエーションを撮影するのなら有りですが、それなら一本の作品通して「特殊」を貫く事になるでしょうし、そういった機会は少ないです。
また、壮大な景色を収めるという使い方に関しては、この日本においてそんなロケーションが中々無い事や、歪曲収差の補正を写真の感覚でやるわけにはいかない事を考えると不向きです。
歪みは作品をチープに見せますので、シネマティック路線を目指す方には特にお勧めしません。
24mm
動画で広角を使うなら24mmがお勧めです。
見た目よりも広く映るし、単焦点レンズなら歪みも少ないです。
それでもパンやチルトを行うと広角独特のうねった感じは出るので、スピード感の演出目的以外では、静的なショットかゆっくり動くショットの役割に専念させる方が実力を発揮します。
パース感をうまく活用したい時には有効ですね!
35mm
標準と言われる事もありますが、動画においてはまだまだ広角の範囲かと思います。実際広く映りますからね。
でも歪みも少なく、被写体との距離も取りやすいので、ジンバルに載せるのには向いていますね。
端っこは歪みがあるので、おのずと被写体をセンターに入れる事が多くなるのは24mmと変わりません。
50mm
「The万能」です。
見た目に近いと言えばこの焦点距離。
いわゆる「撒き餌レンズ」が各社にありますので、一本は持っておいて間違いありませんね!!
しょぼそうに聞こえるかもしれませんが、全くそんな事無くて、欲しい画角に対して必要なワーキングディスタンス(レンズから被写体までの距離)を確保しやすいので、稼働範囲の限られたロケーションでも大活躍です。
それなら35mmで事足りるのでは?と思うかもしれませんが、その場合同じ画角を得る為には被写体に近すぎて、F値や歪みの問題が発生します。また、静止画と違って少し角度を変えるだけで余計な物が映るので、結果50mmに収まるという事は多くの場面であります。
見慣れた雰囲気という意見もありますが、そこは構図やアイデア次第ですね!
85mm
被写体を際立たせるレンズと言われ、ポートレートで多様されます。
それは勿論動画においても同じで、f1.8などの開放で使うことが多いのですが、被写体と背景をしっかり区別した「一眼ならでは」の画を作りやすく、何を見せたいのかを表現しやすい特徴があります。
また、人物撮影においては、ウエストショットやクローズアップを撮るにしても、ある程度ワーキングディスタンスがありますので、フォーカスが外れにくいのと、前ボケを取り込みやすいという物理的なメリットもあります。
ただし、屋内の撮影においては、クローズアップ以外、前述した通り被写体までの距離を必要としますので、小さいスタジオなどの稼働範囲が限られたスペースでは物理的な制限を受け、理想の画角を得られないケースが多々あります。
ジンバルに乗せて使う場合もありますが、これもクローズアップ以外の場合5m~8mは距離をとりますので、ジンバルを使っている意味を持たせるには、かなり広範囲を動き回れるロケーションが必要となります。
100mm
圧縮効果を狙える望遠なので、ロングショットに向いています。
実用的な範囲だと100mmや135mmあたりで、100mmのマクロレンズなどは汎用性も高く作品の幅を広げてくれるレンズとなります。
ただし、どちらにしても被写体に接近するか離れるかなので、85mmを持っている場合は人物の中距離撮影にわざわざ使うことは無いかと思います。
レギュラーとしてのポジションではなく、ここぞという場面で活躍する類ですね!
説明全体を通して、ワーキングディスタンス(レンズから被写体までの距離)の懸念点を重視しましたが、人が被写体になることが多いのであれば、ここは重要なポイントになります。
「これ以上後ろに下がれないんですけどー!」って場面は割とよくありますので、汎用性の高い24-70mmが各社の大三元レンズに含まれているのも納得できます。
焦点距離別の被写体との距離感は下記の図の通りです。
単焦点レンズとズームレンズどっちを選ぶ?
何が違うかというと、焦点距離が固定か可変かの違いというとてもシンプルな違いです。
あとは全て構造上の話になりますが、単焦点レンズは軽くズームレンズは重たいです。
そして単焦点レンズは開放値が小さくて光を多く取り込めるので明るく、ボケを表現しやすいのです。
描写力の違いで言うと、ズームレンズは焦点距離に幅を持たせることで汎用性がある一方、何枚ものレンズが中に入っている為、鮮明さでは単焦点に劣ります。
一つの焦点距離に特化した単焦点レンズが美しいとされるのはそういった理由からです。
では動画撮影を行う上でどっちを選べば良いのか?
やはりオススメは単焦点です。
理由は以下の3つです。
- 歪みが限りなく少ないこと
- 軽いこと(ジンバルのペイロードも気にならない)
- 美しさ(モチベーションアップ!!)
ではズームレンズがダメかと言うとそんなわけはなく、「便利さ」が強みを発揮する場面は多くあります。
なので、中望遠のズームレンズを1本ぐらい持っておいて良いと思います。
ただし、絶対に「F値固定」のレンズを選んで下さい。
焦点距離を変えるごとにF値が変わられたら、動画撮影なんてやってられなくなります。
静止画を撮るカメラマンですらF値通しを選ぶぐらい面倒な事なので、静止画の連続である動画を扱うならなおのこと重要です。
望遠レンズは必要か?
超望遠が必要ないことは、なんとなく想像つくかと思いますので割愛します。
ここで言う望遠とは135~300mm前後の焦点距離のレンズの事で、これらのレンズの使い道があるかどうかと言う話です。
結論から言うと殆どないです。
あるとすれば「距離は離れているけど大きく撮したい」という時ぐらいで、そういうシチュエーションって野生の動物を撮るとか年に1回の運動会とかぐらいでしょうか?
それ専門でやっている人は迷う事なく選択するでしょうけど、そうではない場合、なかなかそういう機会も無いので宝の持ち腐れになる事でしょう。
また、望遠レンズは手ブレが起きやすい為、頑丈な三脚が必須となります。
映画のような背景が圧縮された印象的なショットを撮りたい場合、100mmでも十分効果は得られますので、それぐらいでひとまず良しとしておくのが得策です。
3本選ぶならどのレンズ?
僕は人物を中心とした撮影をすることが多いので、最初に揃える3本レンズということなら下記の3本になります。
- 24mm から 35mmの単焦点 *マウント次第
- 50mmの単焦点
- 85mmの単焦点
なんなら85mmは無しでも良いかもしれません。
軽量で、使い回しが良く、美しい描写力に合わせて、ワーキングディスタンスの取りやすさ。
これらは初心者が動画を始める上で余計な悩みを抱えずに作品作りに没頭出来る要素ですので、ここで自分の癖や好みを把握した上で、次のレンズを選ぶのが良いと思います。
使うカメラのマウントによっては広角の単焦点が見つけにくいかもしれませんが、24-70mmのズームレンズで賄うのも一つの方法です。
使っているうちに何mmが好きなのかわかってきますので、その段階でその焦点距離の単焦点レンズを用意しても良いですね!
まとめ
焦点距離別レンズの選び方をご紹介しました。
レンズ選びは奥が深く、もっと細かい話をすると、フォーカス時に画角が変わる”ブリージング”の有無など、きりがないのですが、今回は「最初に揃えるなら?」という視点でご説明させて頂きました。
動画撮影はカメラやレンズ以外にも色々とお金がかかりますし、重さはカメラマンにとっても機材にとっても重要なポイントになってきます。
積極的に撮影に臨める環境を優先してレンズ選びをするのも大事な選択基準ですので、ぜひ参考にして頂ければと思います!!
ではまた!
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