
動画を使ったプロモーションが不可欠となった現代、制作スタイルも多様化しつつあります。
というのも、従来のコマーシャルとして制作される動画へのニーズとは別に、もっと身近に感じられる要素の強い動画広告が増えており、特にYoutubeの動画広告やSNSの広告では後者の方が広告効果を出しやすい傾向にあります。
そこで気になるのが動画制作・映像制作にかかる費用の事ですよね。
「どれぐらいの規模でどういったものにお金がかかるのか?」
「もっと制作コストを抑える方法は無いのか?」
「自社手動で制作する場合と制作会社に依頼する場合って何がどう違うのか?」
この記事では、こういった疑問にお答えしていこうと思います。
ちなみに僕の経歴ですが、2014年から映像制作を開始し、現在は独立してフリーランスとして映像制作を行っており、普段はMV制作を中心に行っております。個人の映像クリエイターは年々増えておりますので、今後色んな選択肢と向き合う上で一つの判断材料にして頂けるのでは無いかと思います。
何に費用がかかるのか?

まずは大型の制作案件を進める場合の構成をご紹介します。
「そんな大袈裟な感じじゃなくて、もっとコンパクトに。。」というご意見も承知の上で、まずはどんな業務があるのかをイメージして頂ければと思います。
内訳 | 詳細 |
プロデューサー | 制作を統括しながら進捗、品質、予算管理を行います |
ディレクター | 映像の演出・人の管理を行います |
カメラマン | 撮影を行います |
照明技師 | シーンに合わせて照明セットを組みます |
音声技師 | セリフなどの音声を録音します |
撮影機材 | カメラは勿論、クレーンなど撮影に必要な機材 |
照明機材 | 撮影に必要な照明機材 |
音声機材 | 録音に必要なマイクやレコーダー |
アシスタント | 各ポジションに必要になることもあります |
スタジオ | 撮影場所としてレンタルします |
車両 | 撮影機材や出演者を乗せて移動します |
スタイリスト | 役者の衣装などを用意します |
ヘアメイク | 役者のヘアスタイルやメイクを行います |
衣装 | 動画の内容に合わせて衣装を購入又はレンタルします |
大道具・小道具 | 撮影の為に必要なセットや小道具の作成及び購入します |
出演者 | 役者やモデルの出演料 |
ロケハン | 撮影地の下見にかかる費用 |
コーディネート | 撮影地の紹介業者にかかる費用 |
旅費・交通費 | 移動費や宿泊費 |
雑費 | その他にかかる細かい出費 |
CGデザイン | CGの制作費 |
アニメーション | アニメーションの制作費 |
テロップ作成 | テロップの挿入費 |
編集 | 仮編集と本編集を行います |
選曲・音効 | BGMや効果音を用意します |
音楽制作 | オリジナルの音楽を作ります |
MA | ナレーションなどの収録費と録音エンジニアにかかる費用 |
ナレーター | ナレーターにかかる費用 |
映像データ変換 | 編集したデータを各媒体に合わせてエンコードします |
素材費 | Stockサイトなどから購入した素材の費用 |
ディスク作成 | マスターとなるデータの焼き込み |
制作管理費 | プロジェクト全体を管理する為の費用 |
で、それぞれ幾らかかるのか?
それは撮影内容によって大幅に変動します。
ボリュームの多い撮影なら単純に時間もかかるでしょうし、大がかりになればStaffの数も増えます。
それでも1日当たりの単価を無理やり出してみるなら、安くて一人あたり3万円/1日といったところかもしれません。
アシスタントなど、専門的な職を持って無いStaffで2万円前後といったところで、これは単純に人材を借りて来るとこれぐらいかかりますよ、という話なので人によってはその何倍ということもあるかもしれません。当然ですが上記の金額には所属している会社の売り上げも含まれています( その人本人が事業主であっても)
費用は工程と人件費で決まる

制作費は「工程」と「人件費」でほぼ決まります。
どれぐらいの期間何人の人間が必要か、これに関してはどんな商売でも同じですね。
仮に、すごくシンプルな動画を作るとして極限までクルーをコンパクトにすると下記のようになります。(ちょっと無茶ですが)
- カメラマン(ディレクター)
- アシスタント
- 撮影機材
- 照明機材
- 音声機材
- 出演者
- 編集
- 制作管理費
この場合カメラマン兼ディレクターが照明から音声まで全て行います。
勿論一人でやれる限界はありますので、クオリティをある程度下げる必要はあります。
当然一人のカメラマンの金額では収まりませんが分業するよりは安くなるはずです。
そしてこの場合制作依頼主がプロデューサーの立場ということになります。
自社手動で制作する場合

広告代理店や制作会社に動画制作を依頼することは、旅行のツアーに申し込むことに似ています。
ホテルや航空券の手配、ガイドの手配、ビザ取得の代行、ルートなど、自分で調べてやることも出来るけど、時間や手間を考えた時、「専門家に任せた方が間違いないだろう」という考えに至るのと同じように、動画制作においても同じことが言えます。
自社で行うメリットとしてはコストを低く出来るという点が大きいですが、デメリットとしては不慣れな業務を行う必要があるのと、それを行う為の人や時間が挙げられます。
どちらが得なのかという話にはなりますが、Youtubeチャンネルのようにコンスタントに動画を上げ続けるのであれば、社内である程度のノウハウを構築し、専門的な分野である撮影/編集/アニメーションや音声などを外注するというのも有りかもしれません。
時代の流れも二極化しつつあるので、冒頭でお話しした「従来のコマーシャル」と「身近な動画広告」で制作スタイルを分けても良いかもしれませんね。
では実際に自社手動で制作を進める場合にどこに何を外注すれば良いかというと、2つの方法があります。
❶ フリーランス/個人の映像クリエイターに直接依頼
❷ クラウドソーシングの活用
フリーランス/個人の映像クリエイターに直接依頼
動画制作にかかるコストを抑えたいという場合は、フリーランス/個人のクリエイターに依頼するのが良いです。
最小限の人数構成で動くので人件費がかからないのと、基本的にディレクターが直接制作に携わってますので、要望やイメージを作品に反映させやすい環境が特徴ですし、作りたい動画の内容によっては、カメラマンが一人で出向くだけで済むケースも割と多く、それで大満足の動画が生まれることも多々あります。
もちろん大手の制作会社が上記の条件を満たしていないというわけではありませんが、自社手動で制作に当たる場合、”自社でできない部分だけ外注でやって貰っている”という構図は割と大事だったりします。
これは次にご紹介するクラウドソーシングにおいても同じことが言えます。
一つ注意点を挙げるなら、安すぎる見積もりの場合は、何かしら無理がかかっている可能性があるので、過去の制作物の品質確認と、スケジュール通りに制作を進行出来るかを念入りにご確認頂いた方が良いと思います。
クラウドソーシングの活用
ピンポイントで作業を依頼する場合はクラウドソーシングがおすすめです。
それぞれ専門分野に特化したクリエイターが揃ってますので、依頼内容が明確であれば直接頼んでしまった方が、色んな面から考えて結果的に安くつくことが多いからです。
例えば「オープニングのロゴアニメーションをこんな風に動かしたい!」という依頼や、「この素材を使って15秒のオープニングを作って欲しい」など、パーツ単位での依頼を出しやすい良さがあります。
クラウドソーシングサイト大手で言うとランサーズがありますが、最近では「Lancers Outsourcing」というサービスでディレクターすらも外注で頼めるようになっており、社内で誰も時間が割けないといった場合は心強いですね!
このように制作のボリュームに合わせて外注方法を上手く使い分けることで、全体のコストを下げることができます。
ただし、制作会社を通してない分、個別の対応など、あらゆる業務や雑務が自社に回って来ますので、それも含めてご検討頂くのが良いかと思います。
まとめ
動画制作・映像制作の依頼は、完全オーダーメイドですから、例えばインタビューの相場が幾らというのも正直詳細が無ければ出せないわけです。
ただ知っておきたいのは、映像は沢山の人間が関わって出来上がるものですので、コストを削る場合は時間がかかりますし、時間も限られている場合は品質を下げる他ありません「予算」「時間」「品質」には密接な関係があることを覚えておいて下さい。
動画を使ったプロモーションが不可欠となった現代において、制作会社のあり方というのも多様化し、さらにそれを分解した形でクラウドソーシングのようにピンポイントでの依頼が出来ることから、自社手動での動画制作も可能となっております。
「もっと動画制作のコストを抑える方法は無いのか?」という話を中心にこの記事を書かせて頂きました。
安いことが必ずしも良いとは限りませんが、不要なものは不要と判断出来る知識は必要になってきますので、今回の記事で、制作過程でどんな人や物にお金が掛かっているのかというイメージを持って頂けたなら幸いです。
ではまた!