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カメラマン・ビデオグラファーの減価償却【確定申告の前に要チェック!】

投稿日:2022-02-28 更新日:

カメラマン・ビデオグラファーの減価償却【確定申告の前に要チェック!】

フリーランスのカメラマンが、初めての確定申告でつまずく「減価償却」
言葉や意味はなんとなく解っているけど、いざやってみると「これで合ってるのかな?」と不安に感じるものです。
特に中古品の扱いなどは気になるところですよね?

減価償却を正しく理解せず、間違った方法で申告していた場合、修正申告や追徴課税の対象にもなるので侮れません!

この記事では、開業間もないカメラマンが、確定申告で減価償却を適切に行えるよう、しっかり情報をまとめさせて頂きます。
もちろん節税の方法にも触れていきます^^

特例で減価償却する場合って何か手続が必要??

それも後半で説明します!!




カメラマン・ビデオグラファーの減価償却

カメラマン・ビデオグラファーの減価償却

まずは減価償却とは何なのか、簡単におさらいしてみましょう。

減価償却の基本的な考え方

減価償却とは、大きな買い物をした際に、一度に経費にすることが出来ない仕組みの事で、「分割経費」と考えるのが簡単かと思います。
購入したものは「固定資産」として考え、それを所有した月からの計算になるので、購入方法が現金であろうがローンであろうが関係ありません。
基本的に10万円未満の物は「消耗品」として考える為、そのまま経費に計上しますが、10万円以上の物は定められた耐用年数で割って分割の経費とします。

耐用年数

耐用年数とは物の価値を年数で表したもので、あくまでも税務上の基準ですが、それが何年使えるか(価値があるか)が決められております。

ちなみにカメラとレンズの耐用年数は、5年です。
耐用年数表の中の「器具及び備品」にある「光学機器及び写真製作機器」の「カメラ、映画撮影機、映写機及び望遠鏡」に該当します。
»耐用年数表はこちら


定額法と定率方

減価償却費の計算方法には、定額法と定率法があり、均等に割った額を毎年経費とするのが「定額法」で、個人事業の場合は「定額法」で計算するのが原則です。
「定率法」の場合初年度の経費の割合が大きくなるので、節税目線で見ると魅力に感じるかもしれませんが、もし定率法で計算したければ、あらかじめ税務署へ届出を出す必要があります。
»減価償却資産の償却方法の届出




ここまでが基本的な考え方です。

「10万円以上の大きな買い物(固定資産)は、長く使える物なんだから、その年だけの経費とせず、長い期間かけて経費としましょうね。」
という国が決めたルールです。


しかし、例外を適応して短期間で経費として扱う方法もあります!


一括償却資産と少額減価償却

30万円未満の買い物は経費にできます!
2通りの方法をご説明します。

  • 一括償却資産
    購入価格が10万円以上20万円未満の場合に、使用した年から3年間かけて3分の1ずつ償却するものをいいます。
  • 少額減価償却資産
    青色申告をおこなっている場合のみ、購入価格が30万円未満の場合、使用した年に全額償却するものをいいます。


青色申告されているなら、通常の減価償却と併せて3通りの選択肢があるということですね!

減価償却資産 (通常)一括償却資産少額減価償却資産
購入価額10万円〜10万円〜20万円10万円〜30万円
償却方法耐用年数に応じて3年で均等償却全額その年で償却
合計限度額制限なし制限なし300万円
申告方法白色申告・青色申告白色申告・青色申告青色申告のみ
固定資産税課税非課税課税

一括償却資産は、一括とか言いながらも3年で均等に割るので、そこは注意が必要ですね。
それと注意点が1点あります。
一括償却資産と少額減価償却で減価償却を行う場合は、決まった形式で決算書への記入と明細書の提出又は保管が必要となります。

それぞれの記入例は、この記事がわかりやすいので、是非ご覧ください。
画像 »この様式でOK、取得価額の明細書。30万円未満の固定資産、少額減価償却資産の即時償却の特例


お得な話には面倒が付き物ですが、うまく活用すれば節税になりますね!
今はe-Taxが主流ですので、減価償却の計算も自動で行われますので、楽チンです^^

また、確定申告だけではなく、今後しっかり会計を行なっていきたいという場合は、会計ソフトが便利です。
クラウド会計ソフト freee
やよいの青色申告 オンライン



ちなみに、減価償却資産となるのは、あくまでも長く使う「モノ」であり、撮影スタジオの利用料や、航空券、飲食代などは該当しませんので、適切に仕分けして1回で経費として計上します。

大体掴めましたでしょうか?

次は早めに知っておきたい注意点についてです!
後々知って絶望しない為にも是非確認しておいて下さい。




3つの注意点

3つの注意点

後から知って絶望しない為にも、この3つは抑えておきましょう。

1.年末に大きな買い物をしても意味がない

初年度の減価償却分は月割で計算されますので、1月に買ったものなら1年分の経費になりますが、12月に買ったものは1ヶ月分の経費にしかなりません。
なので、年末に大きな買い物を沢山しても、あまり意味がありません。
買うなら早めが良いという事です。

2.少額減価償却資産には償却資産税がかかる

高価なものを所有すると、それだけで償却資産税という名の固定資産税が生まれます。
「おいおいちょっと待ってくれよ…(涙目)」となるところですが、落ち着いて下さい。
前項の図にもある通り、「一括償却資産」として処理する場合は非課税なので、10万円越えの買い物を何でもかんでも少額減価償却資産にするのではなく、20万円未満の場合は一括償却資産も検討しましょう。
あと、課税対象に該当するラインは150万円以上なので、ハイエンドなシネマカメラなどを買わない限りは、滅多に150万は超えないと思います。
あと、車両に関しては別で自動車税・軽自動車税が取られてますので、追加で課税はされません。
でも「課税対象」の文字だけ見るとドキッとすると思うので、概要は知っておいて良いかと!

中古品は耐用年数が短くなる

これは申告前に絶対知っておきたいポイントです。
例えば3年落ちのカメラを15万円で買った場合、5年かけて毎年3万円ずつ経費にするのではなく、以下の式を使って計算します。

対応年数 ー 経過年数 + 経過年数 × 0.2

上記のカメラならこうなります。
5年 ー 3年 + 3年 × 0.2 =2.2年

最大で2年までしか短縮できませんが、1年あたりの経費を正しく計上できるので節税になりますね^^



以上を踏まえて決算書の作成を行えば、減価償却の欄で困ることは無いはずです。
青色申告をされている個人事業主なら、これがほぼ全てと思って頂いて大丈夫です!




まとめ

減価償却

節税にも大きく関わる減価償却の考え方と方法についてお話しさせて頂きました。
内容をまとめます!

購入費が10万円以上の場合、決められた耐用年数で経費を分割する仕組みですが、特定の条件を満たす場合は「一括償却資産」や「少額減価償却」を特例として使えますので、それよりも短い期間で均等償却することが可能です。

納税額を少しでも減らしたい場合に、法で定められたルール内で有利になる手段を選ぶことは問題ありません。
ただし、会計上は利益が低くなるため、銀行などからの借り入れの際には、査定が厳しくなる可能性があります。

その辺りも考えつつ上手に申告しましょう!

では!



仕事, 初心者
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Shinpei Nakamura

ビデオグラファー / 映像クリエイター / 映像ディレクター として活動しており、建築・広告・MV などの映像制作を行なっています。
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