「動画」「制作」「内訳」「相場」などで検索すると、制作例と大体の金額が出てくるのですが、○十万円〜○百万円という表記が多く、「高いし、幅広過ぎんか?」と感じる事があると思います。
含みを持たせた説明が多く、中々真髄に触れられない部分ですが、そこのところを詳しくお話ししたいと思います。
恐らく、皆さんが目にされた記事には『なぜ幅があるのか?』という点についても触れられているはずで、有名タレントを起用したり、アニメーションを作ったからなど、理由は様々です。
それ自体はその通りで、別に吹っ掛けた料金を載せているわけでは無く、むしろ正直で好感を持てます。
しかし、冒頭のキーワードで検索する方の大半は、これまでに代理店との取引がなく、相場観がわからない&動画広告のどこにお金をかけるべきなのか定まっておられない方が多いはずです。
そもそも、有名タレントなんて考えてないし、オリジナルのアニメーションとか考えもしなかったし、となると、結局欲しい情報にはほとんど巡り合えずじまいで「結局このパターンか〜」というパターンを繰り返しているのでは無いでしょうか?
欲しいのは、もっと具体的な例ですよね。
このハッキリさせにくい話を、出来るだけハッキリさせていきます!
ちなみにこの本、クライアント向けで凄くわかりやすい内容なのでお勧めします。
動画制作にかかる費用の内訳を公開
まずは動画制作ににはどんな費用がかかるのかをご紹介し、その後具体例を挙げていきます。
下記のリストは必ずしも全部必要というわけではないので、とりあえずザックリと把握して頂ければ大丈夫です。
なお、人材に関しては1人分の計算です。
内訳一覧表
内訳 | 詳細 | 金額 |
プロデューサー | 制作を統括しながら進捗、品質、予算管理を行います | 費用全体の1〜2割掛け |
ディレクター | 映像の演出・人の管理を行います | 費用全体の1〜2割掛け |
カメラマン | 撮影を行います | 3万円〜5万円/日 |
照明技師 | シーンに合わせて照明セットを組みます | 3万円〜5万円/日 |
音声技師 | セリフなどの音声を録音します | 3万円〜5万円/日 |
撮影機材 | カメラは勿論、クレーンなど撮影に必要な機材 | *質・量の選択により変動が大きい |
照明機材 | 撮影に必要な照明機材 | *質・量の選択により変動が大きい |
音声機材 | 録音に必要なマイクやレコーダー | *質・量の選択により変動が大きい |
アシスタント | 各ポジションに必要になることもあります | 3万円前後 |
スタジオ | 撮影場所としてレンタルします | *質・量の選択により変動が大きい |
車両 | 撮影機材や出演者を乗せて移動します | 大型普通車1台なら 2万円程/日 |
スタイリスト | 役者の衣装などを用意します | 3万円〜5万円/日 |
ヘアメイク | 役者のヘアスタイルやメイクを行います | 3万円〜5万円/日 |
衣装 | 動画の内容に合わせて衣装を購入又はレンタルします | *質・量の選択により変動が大きい |
大道具・小道具 | 撮影の為に必要なセットや小道具の作成及び購入します | *質・量の選択により変動が大きい |
出演者 | 役者やモデルの出演料 | *質・量の選択により変動が大きい |
ロケハン | 撮影地の下見にかかる費用 | 実費分+人件費 |
旅費・交通費 | 移動費や宿泊費 | 実費分 |
雑費 | その他にかかる細かい出費(食事/軽食/飲み物/など) | 実費分 |
テロップ作成 | テロップの挿入費 | *質・量の選択により変動が大きい |
編集 | 仮編集と本編集を行います | 5万円前後/日 |
選曲・音効 | BGMや効果音を用意します | 実費分+手数料 |
MA | ナレーションなどの収録費と録音エンジニアにかかる費用 | 5万円前後/日 |
ナレーター | ナレーターにかかる費用 | *質・量の選択により変動が大きい |
素材費 | Stockサイトなどから購入した素材の費用 | 実費分+手数料 |
制作管理費 | プロジェクト全体を管理する為の費用 | 費用全体の1割掛け |
ここでなんとなく見えてくるのは、人一人につき大体50,000円/日くらいという点です。
売れっ子ならもっと掛かるでしょうが、平均的にはこんな感じです。
また、説明するまでもなく、この金額には利益も含まれていますので、割と適正な範囲かと思います。
ちなみに「フリーランスを使うと安い」と言われますが、この部分は変わらないと思います。
安くなるとしたら、間に入っているプロデューサーやディレクターの役割をカメラマンが全て兼任しているケースで、小規模な撮影ならそのスタイルでも可能な場合があるので、丸々とはいきませんが安くなることは確かです。
つまり、費用の大部分は人件費が占めているという構図で、これに関してはどの業種にも当てはまる事なので、想像しやすいかと思います。
制作の具体例と金額をピックアップ
制作費は「工程」と「人件費」でほぼ決まります。
そこに「マージン(利益)」が絡んできますので、それぞれ意識しながら、実例を見ていきましょう!
ジャンルが違いそうなものでも構造は似ているので、参考になるはずです。
結婚式の動画撮影
- 価格:20〜25万円
- カメラマン:1〜2名
- 制作期間:当日+編集1日
上記の一覧表を目安にした場合、10〜15万円になるところが、ブライダル会社が取るマージンが追加されますので20〜25万円となります。
原価の倍の値段での販売なので、あり得る金額かと思います。
編集を1日と考えておりますが、クオリティとしてはそこそこで、カメラマンやエディターのセンスで仕上がりは大きく左右します。
勿論ボリュームや、クオリティを求められる場合は1日以上かかるので、その分料金は上がります。
前撮り動画撮影
- 価格:10万円前後
- カメラマン:1名
- 制作期間:撮影半日、編集半日
半日だから単純に半額とはいきませんが、それでも丸一日の撮影よりは安くなります。
ただし、前撮りの写真撮影を行いながら”ついでに”動画も撮るという内容の場合のみ、この金額が実現可能で、メイクや着付け、衣装、小物、ロケーション手配など、そういったものが写真撮影のプランに組み込まれているからこそ割安になるわけです。
当然前撮り会社のマージンも料金に含まれます。
店舗の15秒CM撮影(小規模)
- 価格:20〜25万円
- カメラマン:1名(ディレクター兼任)
- アシスタント:2名
- 制作期間:撮影日含めて4日
経費を極限に削った場合の例で、色んな条件が重ならないと実現不可能ですが、一応例としてご説明します。
まず、ディレクター兼カメラマンが全て取り仕切るので、よく解らないお金がどこかに流れることはありません。
そして、この場合準備期間はたったの2日ですが、ロケーションは当然その店舗なので既に決まっている状態で、出演者は身内で固めて頂くわけです。
そして肝心の内容は、テンプレを元にお客さまに決めて頂くという流れです。
あれこれ必要なモノがあっても、基本的に備え付けのもので何とかするという方針で、お客さまに色々動いて頂くことが多くなるのがこの予算感です。
編集は1日で、あらかじめ決まっている流れに沿って行うことになります。
普通は危なっかしすぎてオススメ出来ないので、もう少しゆとりを持った予算を推奨します。
ロケーションを複数使ったミュージックビデオ
- 価格:45〜50万
- カメラマン:1名(ディレクター兼任)
- アシスタント:2名
- ヘアメイク:1名
- スタイリスト:1名
- 撮影スタジオ:2ヶ所+外ロケ
ミュージックビデオの場合、内容が複雑であるほど、準備に時間がかかります。
内容を決めることが重要なのは勿論ですが、それに伴うロケーションのピックアップから、現場のロケハン、小道具の調達と綿密なスケジュールの作成など、下手すると数週間かかる場合もありますが、この例ではシナリオ的な要素を排除することにより、準備を4日で計算しています。(結構無理があります)
そして、ワンカットのクオリティーを上げるにはヘアメイクやスタイリストが欠かせません。特に女性を撮る場合は、目を皿にして見張ってくれているスタッフが必要なのです。
スタジオのレンタルに関しては、準備時間から撤収までとなりますので、半日ずつ2ヶ所で撮影して10万円は見ておいた方が良いです。
ちょっと気合を入れたCMなども似たスタイルで制作できますが、コピーライターを交えた企画となると、また別次元になります。
4つの例を出させて頂きました。
どれもカメラマン兼ディレクター(兼プロデューサー)となっており、広告代理店を挟まずに、タイトな制作に望む場合は、大抵こういった配置になり、スタジオ撮影においても上記の予算感ですと、クライアントがのんびり見学というよりは、割とみんなでバタバタしてる感じです。
これが100万円を超えるような予算だと、スタッフの数や時間を確保して、余裕を持った制作が可能となります。
そして、一つ知っておいて頂きたいのは、センスが良い悪いに関わらず、同じ料金であるという事実があるということです。
金額とごちゃ混ぜに考えてしまいがちですが、撮影技術や編集技術の高さと、センスの良さは別物です。
綺麗に確実に撮れるのは、良いカメラとカメラマンのオペレーションテクニックであることに間違いはないですが、そこにセンスが宿っているかは別ということです。
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自社手動で制作する場合
動画制作を依頼することは、旅行のツアーに申し込むことに似ています。
ホテルや航空券の手配、ガイドの手配、ビザ取得の代行、ルートなど、自分で調べてやることも出来るけど、時間や手間を考えた時、「専門家に任せた方が間違いないだろう」という考えに至るのと同じように、動画制作においても同じことが言えます。
自社で行うメリットとしてはコストを低く出来るという点が大きいですが、デメリットとしては不慣れな業務を行う必要があるのと、それを行う為の人や時間が挙げられます。
どちらが得なのかという話にはなりますが、Youtubeチャンネルのようにコンスタントに動画を上げ続けるのであれば、社内である程度のノウハウを構築し、専門的な分野である撮影/編集/アニメーションや音声などを外注するというのも有りかもしれません。
実際に自社手動で制作を進めるにあたって、部分的な外注をするなら、以下の2つの方法があります。
❶ フリーランス/個人の映像クリエイターに直接依頼
❷ クラウドソーシングの活用
フリーランス/個人の映像クリエイターに直接依頼
動画制作にかかるコストを抑えたいという場合は、フリーランス/個人のクリエイターに依頼するのが良いです。
最小限の人数構成で動くので人件費がかからないのと、基本的にディレクターが直接制作に携わってますので、要望やイメージを作品に反映させやすい環境が特徴ですし、作りたい動画の内容によっては、カメラマンが一人で出向くだけで済むケースも割と多く、それで大満足の動画が生まれることも多々あります。
もちろん大手の制作会社が上記の条件を満たしていないというわけではありませんが、自社手動で制作に当たる場合、”自社でできない部分だけ外注でやって貰っている”という構図は割と大事だったりします。
これは次にご紹介するクラウドソーシングにおいても同じことが言えます。
一つ注意点を挙げるなら、安すぎる見積もりの場合は、何かしら無理がかかっている可能性があるので、過去の制作物の品質確認と、スケジュール通りに制作を進行出来るかを念入りにご確認頂いた方が良いと思います。
クラウドソーシングの活用
ピンポイントで作業を依頼する場合はクラウドソーシングがおすすめです。
それぞれ専門分野に特化したクリエイターが揃ってますので、依頼内容が明確であれば直接頼んでしまった方が、色んな面から考えて結果的に安くつくことが多いからです。
例えば「オープニングのロゴアニメーションをこんな風に動かしたい!」という依頼や、「この素材を使って15秒のオープニングを作って欲しい」など、パーツ単位での依頼を出しやすい良さがあります。
クラウドソーシングサイト大手で言うとランサーズがありますが、最近では「Lancers Outsourcing」というサービスで、ディレクターすらも外注で頼めるようになっており、社内で誰も時間が割けないといった場合は心強いですね!
»ランサーズ(Lancers)
»ココナラ
このように制作のボリュームに合わせて外注方法を上手く使い分けることで、全体のコストを下げることができます。
ただし、制作会社を通してない分、個別の対応など、あらゆる業務や雑務が自社に回って来ますので、それも含めてご検討頂くのが良いかと思います。
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まとめ
動画制作にかかる費用の内訳と具体例をご紹介させて頂きました。
制作費はケースバイケースだとしても、基準となる考え方を知っておくことで、ある程度算出しやすくなると思います。
漠然としていた映像制作の料金体系の理解に役立てば幸いです。
また、クラウドソーシングを利用することで、雇用関係を持たないアルバイトを実質専属にすることもできますので、上手に使い分けていきたいところですね!
動画制作にかかる費用のお話でした。
では!