SonyならS-Log、CanonならC-Log、PanasonicならV-Log、という風に、どのメーカーのカメラも、カラーグレーディングを前提としたLog撮影が可能となってます。
このLog撮影というのは、撮影においても編集においても専門知識が必要となる代物で、気軽に扱えるものではないのですが、実際に映画撮影で使われている事もあり、折角なので使いこなしたいという方が多いのではないでしょうか?
が、実際の所このLogに振り回されていたりしませんか?
そもそもなぜLog収録する必要があるのか?
Logで撮ってて良かったと思う事って、実際それほど多くなかったりしませんか?
むしろそれで編集時にパニックになったりしていませんか?
要するに、Logじゃなくて良い場合は沢山あります。
恐らく、色々勉強するうちに「Log信者化」「Log至上主義」になってしてしまっているのかもしれませんが、ここらで一回整理して、持っているカメラを最大限活かせる方向にシフトしていくのはどうでしょうか?
この記事では、Logが有効な理由のおさらいと、その他のピクチャープロファイルの詳細設定などをご紹介したいと思います!
案外手付かずだったピクチャープロファイルなどもあると思いますし、一度離れて見てみる事で最終的にはLogに対する理解がより深まる事もあると思います。
無理してLogで撮影しなくて大丈夫!
まずはLogの特性に基づいたメリットとデメリットをおさらいしましょう!
Logのメリット
何と言ってもダイナミックレンジの広さですよね!
「白飛びしにくく黒潰れしにくい」という言葉通り、情報量の多い中間域よりもハイライトとシャドウに諧調を多く割り当てる事で、より多くの情報を残せるようになっています。
それの何がメリットなのかというと、カラーグレーディングを行う際に「色の情報」が残されている事で、作品の自由度が増すという点につきます。
色を持ち上げるにしても抑えるにしても極端な負荷がかかりにくいので、映像が荒れにくく、大胆なカラーグレーディングを行えます。
Logのデメリット
本来デメリットと呼ぶべきではないのかもしれませんが、当然カラーグレーディング前提の素材ですので、そのまま使うことはありません。
そしてLUTを適応するだけで魔法のように映画のようになるわけではなく、目的のカラースペースへの変換や、スキントーンの調整、最終的に709の色域の範囲内に収めるよう適切なプロセスが求められます。
と、簡単に言いますが、これがまた厄介で、撮った素材にもよりますが中々しっくりくる色に辿り着けなかったりして膨大な時間を編集に当てることになったりするのです。
また、ベースISOが640など割と高い所から始まるので、暗部のノイズに悩まされたり、適正な露出を得るのが難しかったり、撮影段階から手を焼きます。
「こんなはずじゃなかったのに〜!」って挫折しそうになるやつです。
ざっくりとこんな感じです。
ただ、そこまで凝ったカラーグレーディングする事って、どれぐらいありますか?
映画のカラリストが行うぐらいの何層にも入念に作業を施し、部分部分で色を変えたり押し上げたり壊したり、キーフレームを割り当てたマスクをかけるとか、そのレベルの事ですが、それって例えるならPhotoshopの達人の動画版みたいな感じですよね。
それ自体は凄い事に間違い無いのですが、写真で言うところの「Adobe Lightroomで良い感じにしたい」ぐらいなら、別にLogじゃなくてもさほど問題なかったりします。
なんなら予想以上に追い込めます。
他のピクチャープロファイルを使わない理由はなんだろう?
Logの見た目に慣れてしまうと、他のピクチャープロファイルのコントラストの高さにチープさを感じるのではないでしょうか?
しかし、Log以外だってコントラストはピクチャープロファイルの詳細設定で調整できますし、彩度も強すぎるなら下げれば良いだけです。
Log特有のガンマカーブではないので、ハイライトやシャドウが心配かもしれませんが、それを差し置いてもグレーディングの簡単さは魅力だと思います。
例えばS-Log2/SGamut3で撮影した場合、カラースペースを709に戻す必要があるのですが、上手い事調整して709に収めたとして、それ以上豪快なグレーディングをしないというなら、そもそもLogじゃなくて良かったのでは??となるわけです。
他のピクチャープロファイルが不安という方もいらっしゃるかもしれませんが、とにもかくにも試してみるしかありません。
次の項でいくつかご紹介致します。
おすすめピクチャープロファイル
Log以外と比較
さて、突然クイズです!
上記の4枚の画像はSONY α7sⅢで撮影したものですが
「それぞれどのピクチャープロファイルを使って撮影したでしょうか?」
ちなみに使ったのは以下の4つです。
- PP Off / ST(クリエイティブルック)
- HLG3 / 709
- S-Log3 / SGamut3.cine
- S-Cinetone / S-Cinetone
S-Logに関しては、そのままだとバレバレなので709のLUTを当てて、微調整してます!
この中で、どれが好みに近いか?っていうのでも良いですね!
答えは以下の通りです
いかがでしょうか?
❶のS-Log3は良く見ると、オレンジのキャップの色など、褐色系の調整が甘いですね汗
❷〜❹に関してはかなり忠実に色も再現されてますし、とにかく素直さを感じます。
カラーグレーディングであれこれできる技術も大切ですが、適切な色、特にスキントーンが上手くいかないという事では本末転倒ですから、撮って出しで整っているというのは有り難い事です。
カラーチェッカーを見ると、ややばらつきはありますが許容範囲内ですね。
そして注目すべきは「PP Off」です!
普通に良いです!
写真撮影時に使うクリエイティブルックがそのまま反映されますが、今回はST(スタンダード)を使用し、以下のように設定しました。
- コントラスト:-9
- ハイライト:0
- シャドウ:+9
- フェード:0
- 彩度:-2
- シャープネス:2
- シャープネスレンジ:3
- 明瞭度:0
当然といえば当然ですが、SONYが作ってるカメラですから、ノーマルで撮影してさくっと高得点出せなきゃ逆に恐ろしいですよね。
ちなみに、一歩踏み込んだカラーグレーディングでも割と耐えてくれます。
そしてS-Cinetoneですが、これは扱えるカメラが限定されてますので簡単に解説すると、露出量によってコントラストの強さに差があるので少し慣れが必要ですが、色は抜群に良いです!
詳しくはこちらの記事をご覧下さい
»【α7SⅢ】S-Cinetoneとは?使いこなす為に必要な露出の知識
撮影時にある程度追い込む!
カメラで撮影した動画は、そのままでは容量が大きすぎる為、クロマサブサンプリングという手法を使ってうまいことファイルを圧縮して記録します。
その為、編集ソフトでグレーディングを施すと、多かれ少なかれ素材が破壊されます。
それを最小限に抑えるには、撮影時に理想に近い状態まで調整する事が重要になります。
何と言っても撮影段階では、どれだけパラメーターを変更しようが映像が荒れることがありません!
撮影条件に合わせて詳細設定を色々変えてみる練習はしておいた方が良いですね^^
このように、Logに拘らずとも、他のピクチャープロファイルで間に合うということはあると思いますので、是非積極的に取り入れていきたいですね!
まとめ
選択肢が多くなると、混乱してしまうかもしれませんが、もしLogの扱いで手を焼いているなら、一度離れてみてカメラのポテンシャルに委ねてみるのはいかがでしょうか?
他のプロファイルだとカラーグレーディングが出来なくなるわけではないですし、それよりも簡単に得られる素直な色は、今まで悩んでいた時間がバカバカしくなるぐらい素晴らしいものです。
もちろん撮影時の設定は大事ですが、やることはそれぐらいなので撮影にも集中できると思います。
そこで、「手の届かない痒いところ」を知ることで、Logとの付き合い方がポジティブなものになってくるのかもしれませんね^^
是非一度他のピクチャープロファイルでガチ撮影をしてみて下さい!
ではまた!