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【一眼レフ/ミラーレス】動画撮影でピント合わせを失敗しないコツ7選

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撮影した素材を持ち帰って
「さ〜て編集するぞ!」
と、意気込んでデータを見た時にピンボケばかりで顔面蒼白した事はありませんか?

ここ一番良いシーンなのにー!

ちゃんとモニターで確認したのに…涙


まぁ地獄ですよね。。でもどうあがいても後の祭りなんです。
結局正しくピント合わせが出来てなかったわけで、仮に気付けていたとしても撮り直す時間は確保出来ていたでしょうか?一発物なら即アウトですよね?

こうして大事な瞬間や、大事な時間を失うに至った理由は、厳しい話になりますが「準備不足」の一言に尽きます。

とはいえ動画でピントを合わせるのは当たり前のようでなかなか難しいものです。

そこで今回は「ピントが合わない条件」をおさらいした上で、先人たちの知恵と人類の叡智の結晶を惜しみなく活用したピント合わせのコツを共有したいと思います。
コツを理解し体得する事で確実に失敗は減りますし、何よりも撮影条件に合わせた判断基準が身につきます。

僕は年間数十本のミュージックビデオやインタビューの撮影を行っておりますが、初めの頃は失敗ばかりで「どうやってごまかすか」などと考える事も多かったですね。でも結局撮れた素材の良さに勝るものは無いですから、まずは知る事からコツコツはじめました。

*この記事ではフォーカスを「ピント」という表現で統一させて頂きたいと思います。



ピントが合わない場合の条件

ピントを合わせづらい、または撮った動画がピンボケばかり、という場合、大抵は下記の3つに当てはまります。

  • 被写体が動く
    当たり前の話ですが被写体が動く(カメラとの距離が変わる)とピントが外れます。
    一眼レフやミラーレスはビデオカメラと比べてセンサーが大きく、被写界深度が浅くなりピントの合う範囲が狭くなります。
    なので、被写体が動き回る場合マニュアルで追いかけるのは至難の技ですし、AF(オートフォーーカス)を使っても捉えきれない場面が多々あると思います。
  • 露出不足
    露出が足りないとピントを合わせにくくなります。
    これは肉眼でも同じ事が言えます。
    被写体のディティールがわからない状況でピントが合うというのは矛盾した話であって、AFが効きにくくなるのは当然で、目視で合わそうとしてもザックリになってしまう傾向があります。
    写真撮影の場合に見かけるAF補助という赤い光がありますよね、あれは露出が足りない場合にわざと明るくしてピントを合わせる位置を確認する為についている機能です。
    暗いと被写体の輪郭が捉えられないのです(人も機械も)
  • 人為的なミス
    被写体が動くわけでもなく露出が足りないわけでも無いのにピンボケになる。
    これは単に人為的なミスという事になります。
    割と多いのがこの人為的なミスなのですが、なぜそれが発生するかというと、撮る側の人間の判別力が弱いからです。
    例えば単に目が悪いとか、うっかりしがちとか、機械を信用しすぎなど、判別する必要がある時に機能しないという問題です。
    なんだか冷たく聞こえてしまうかもしれませんが、これを外すわけにはいかないのでズバッと書かせて頂きました。

ピントが合わない場合、どういった背景があるのかというお話でした。
では、本題の「失敗しないためのコツ」を紹介します!



動画撮影でピント合わせを失敗しないコツ7選

これから挙げる7項目は、いずれも前項でおさらいしたピントが合わない条件のどれかに当てはまるものです。

1~4は主にピントが合わせにくい場合の対処法で

5~7は人為的なミスをなくす為の対処法です。



1.被写界深度を深くする

単純に絞り(F値)を絞る事でピントの合う範囲は広くなります
F1.4やF1.8で撮影すると、どうしても被写界深度が浅くなり、ピントを合わせれる範囲が極端に狭くなります。これは被写体との距離にも関係するのですが、例えば人物の顔の場合、目にピントが合っていても耳から後ろはボケているという状態で被写体が動き回るとかなり厄介ですし、そもそも動きのあるシーンの撮影ならそこまで背景をぼかす必要は無いと思います。

折角の一眼レフの良さや単焦点レンズの良さを存分に発揮したいという気持ちはわかりますが、それもこれもピンボケしてない事が前提の話のなので、注意する必要がああります。
F5.6でもロングショットじゃ無い限り背景との距離があれば十分ボケますよ!



2.同じ距離を保つ・自分が動く

被写体との距離が一定なら当然ピントは外れませんので、被写体の動きに合わせて自分が動くことで解決するケースが多いです。

AFやフォーカスリングを使ったマニュアルフォーカスの場合どうしても「迷い」が記録されてしまいます。
熟練したフォーカスマンなら問題ないでしょうが、大体の人間やAFがフォーカスを担当する場合、大なり小なり「ここかな?ここだな!」という微調整が映像として記録される為、折角撮った映像もチープに見えてしまいます。

なので撮影内容によっては自分で動いた方が手っ取り早いケースが多く、特にAFが効きにくい条件下では有効な手段となります。

例えばジンバルに乗せて被写体と歩き撮りをしている場合、一度ピントが外れてしまうとAFならその間別のターゲットにピントを合わせてしまったりしますよね?
これで両手が塞がっていると、もう泣きたくなるはずです。

しかしマニュアルフォーカスで固定し、自分が動く事で調節出来るなら、ピントが外れてからの復帰もナチュラルです。



3.オートフォーカスを使う

ゾーンで捉えるか、顔で認識するか、いずれにしても被写体がはっきり判る条件下の撮影ではAFが有効です。
理由はAFが迷う要素がないからです。

では「迷う要素」とは何かというと、被写体とカメラの間に何かが入り込む事が多かったり長かったりという場合や、人物が複数いる場合や、強い光源によってカメラが被写体を見失う場合などです。
最後に挙げた強い光源というのはライブ撮影などではありがちで、照明がもろにカメラに入るとAFが暴れる事があります。まぁ機械なので仕方ないですね。。

どういうシーンで有効かというと、インタビューを含めたピンの撮影になります。



4.印をつける

カメラを固定して撮影する場合に有効な手段で、フォーカスリングに目印を付けます。

有効なシーンは限られますが、MV撮影など撮影内容が解っているものに関しては、被写体が動く範囲を決めておくことで、目印通りに手動でフォーカスリングを回すことによるピント合わせが可能です。

これはプロの世界でも普通に使われている方法で、素材は布テープやシールなど、剥がしやすいものなら何でも良いと思います。



5.ピーキングを使う

カメラの機能でピーキングの表示が可能なら活用しましょう。

ピーキングとはカメラのディスプレイ内でピントが合っている場所に色が付く機能でして、搭載されているなら使わない手はないです。

撮影中もリアルタイムでピークポイントを表示し続けてくれるので、フォーカスリングを回す方向さえ間違えなければかなり安定した画を撮る事ができます。

ディスプレイ内がガチャガチャして見にくいという方もいらっしゃると思いますが、その時ばかりはディスプレイを覗いて自分も楽しむなんて事は置いといて、成果重視で臨む方が後悔せずに済むと思います。



6.外部モニターを使う

外部モニターを使うと一気に改善されます。
単純にディスプレイが大きくなる事でピントが合ってない事に気付く可能性が高まります。
また、カメラ内蔵のディスプレイと違って晴れの屋外でもしっかりモニタリング出来るので、あらゆるミスに気付きやすくなります。

もちろん最近の一眼レフやミラーレスのディスプレイは綺麗に映りますが、問題はそこではなくて大きさと明るさなんです。

それでも「え~内蔵のディスプレイでも良くない?」という気持ちが勝っている方、レンタルでも良いので試してみて下さい。視認性というのは大きさに左右されるということを痛感するはずです。

確かに重くなるし、撮ってる目線と違う高さにモニターがあるのは最初は慣れないと思いますが、そこを差し引いても導入する価値があります。

値段はピンキリですが、安いものならFeelworld FW568(Amazon価格 ¥13,888)や本格的なタイプだとAtomos Ninja V(Amazon価格 ¥86,321)などがあります。

あと、外部モニターにはピーキング機能が付いているものが多いので、お持ちのカメラにピーキングがついてなくても外部モニターで補完する事ができますよね!



7.ズームを使う

固定で撮る際は、カメラの機能として備わっているズームボタンを押して、撮影前に必ずピントを合わせましょう。

静止している物を撮る際でも油断せず、ズームを使ってきめ細かくピント調整をする事によってクオリティは断然変わります。

また、それこそAFで良いのでは?と思われるかもしれませんが、AFがどこにピントを合わせたのかなんてしっかり見てみないと解らなかったりします。

例えばテーブルの上にある水の入ったコップを撮影する場合、ゾーンAFでコップにキュッ!と食いついた感じがあったとしましょう。その時のF値にもよりますが、AFが水面を綺麗に捉えてるがコップの縁がボケているという事もあり得るでしょうし、奥の縁にフォーカスが食いついていて、手前の水面のディティールが無いって事もあるのではないでしょうか?

ズームを使ってピント合わせをしていれば、撮影前にその問題に気付けるはずなので、画角を変えたりF値を変えたり、色々施しようにあります。

この一手間が作品のクオリティを左右するので、「ピントが合ってるつもり」には要注意です。



正しいピント合わせがもたらすもの

単にピントが合わないと言っても何に起因しているかによって対策は変わるので、まずはその辺りを意識した上で自分に合った解決策を試してみるのが良いのではないでしょうか。

ちなみに映画の撮影現場ではフォーカスマンという職業があるぐらい、ピント合わせは専門的な技術や感覚を要するものなので、「そういうものだ」と認識する事で取り組む姿勢も変わり良い結果につながるのではないでしょうか^^

ピンボケが無くなれば編集で使えるカットの幅が広がりますので、作品のレベルが当然上がりますし、4K以上の撮影においてはより一層重宝する技術となります。

また、ピントが合っている映像は視聴者にストレスを与えませんし、「画質が良い」という評価にもつながります。
ピンボケの4Kとか見せられるぐらいだったらHDのシャープな映像の方が100万倍マシですからね^^;


という事で動画撮影時にピント合わせで失敗しないコツのご紹介でした。

ではまた!!

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Shinpei Nakamura

ビデオグラファー / 映像クリエイター / 映像ディレクター として活動しており、建築・広告・MV などの映像制作を行なっています。
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